
The Elder Scrolls(TES)の古い墓や遺跡で出会うスケルトンやゾンビは、作中では死霊術師が死霊術で起こした死者です。[1:2]作中の死霊術師の一人は、自分の本の中で「起こされた死者には、なぜスケルトンが多く、ゾンビは少ないのか」と問いかけています。[2:4]
この記事では ESO(The Elder Scrolls Online)・Morrowind・Oblivion・Skyrim に出てくる本と台詞をもとに、死霊術とは何か、起こした死者を動かすもの、スケルトンが多い理由を解説します。話は召喚魔法との境目、魔術師ギルドの討論と死霊術師の実験、死体を守る各地の法と信仰、亡者の軍勢の歴史まで広げます。本どうしで答えが食い違う所は食い違いのまま分けて書き、亡者ごとの詳しい話はそれぞれの記事に任せます。
どの作品も、大陸タムリエルのどこかが舞台です。Morrowind はモロウウィンド、Skyrim はスカイリムという州の話で、Oblivion の舞台は帝国の中心の州シロディールです。
TES の時代は「紀」で区切り、数が大きいほど新しくなります。ESO はおおむね第二紀、Morrowind と Oblivion は第三紀の終わり、Skyrim は第四紀の話です。
「なぜスケルトンが多いのか」という問いは、本『死霊術について』に出てきます。「V」とだけ名乗る書き手が、死者を起こす心得を短い章にまとめた物で、要点を次にまとめました。[2:2]
書き手の V は、死者を起こすのは軽い仕事ではなく、代償はこの世でも魂の上でも高くつくと戒めます。出来を決めるのは術者の思いの加減で、強すぎれば怒りにゆがんだ怪物に、弱すぎれば単純な命令しか聞けない抜け殻になるので、落ち着いた心と練った計画がいちばんの材料だといいます。
体は古くても傷んでいても起こせますが、役に立つのは欠けの少ない物で、丸ごとそろった骨は新しくても傷んだ体にまさるとします。
そのうえで、起こされた死者にスケルトンが多くゾンビが少ないわけを、死者の魂と亡骸のつながりから説き、魂が去りきらない新しい死者は起こすなと戒めます。本当の復活は死霊術師ではなく神々と司祭の仕事だ、と章は結ばれます。
- 死霊術とは?|死者の魂と死体を操る術
- 起こされた死者は何で動く?|死霊術師が縛りつけた霊
- スケルトンが多くゾンビが少ないのはなぜ?|古い骨ほど元の魂が離れている
- スケルトンとゾンビの違いは?|骨は一度きりで死体は何度も起こせる
- 召喚魔法のスケルトンも死霊術?|魔術師ギルドと大学で答えが違う
- 死霊術は学問として認められてきた?|魔術師ギルドの討論と死霊術師の言い分
- 死霊術師はどんな実験をしてきた?|氷の従者と縫い合わせた体
- 死霊術師は死体をどこで手に入れる?|法で禁じたのはモロウウィンドだけ
- 歴史の中で亡者の軍勢は何をしてきた?|アイレイドから狼の女王まで
- ボーンウォーカーは死霊術?|ダンマーは祖先の聖なる務めと呼ぶ
- ドラウグルはゾンビ?|竜教団の命の力で動く墓の従者
- ドラゴン・プリーストとは?|従者の命で生きる竜の司祭
- 亡者を動かすものは一つ?|縛った霊と命の力と呪いを比べる
- よくある質問
- 参考文献
死霊術とは?|死者の魂と死体を操る術
死霊術は死者の魂か死体を操る術で、死霊術師はこの術で死体に霊を縛りつけ、スケルトンやゾンビのような「起こされた死者」を作ります。[1:2][5:6]そうして死後も動き続ける者を、まとめてアンデッドと呼びます。[6:2]
『不浄の軍団』という本は、アンデッドを生まれ方で 3つに分けています。
- 起こされた者
死霊術師が呼び出した霊を、死体や体を組み合わせた物に縛りつけて動かす。いちばん下のスケルトンから、死体の肉をつぎ合わせた大きなフレッシュ・アトロナックまでいる[5:6] - 戻ってきた者
幽霊やレイス(怨霊)のように、魂そのものが形になって現れる[5:8] - 呪われた者
吸血鬼のように、呪いの病で不死になる[5:11]
スケルトンとゾンビは、どちらも起こされた者です。同じ本は、スケルトンを「新米の死霊術師のお気に入り」と書いています。[5:6]かんたんに言えば、スケルトンは駆け出しの死霊術師がまず手を出す、いちばん手ごろな亡者です。


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起こされた死者は何で動く?|死霊術師が縛りつけた霊
死霊術で起こした死者を動かしているのは、死霊術師が呼び出して死体に縛りつけた霊で、多くは小さなデイドラの霊です。[5:6]デイドラは、オブリビオンと呼ばれる異界に住む者たちです。ゲームの召喚魔法で呼び出す炎や氷の精霊(アトロナック)も、デイドラの仲間です。
『スケルトンの召喚』によると、小さなデイドラの霊で動かした亡者には、自分という感覚も生前の記憶もありません。[7:2]記憶が無いので言うことを聞きやすく、単純な命令にも従い、死霊術師には都合のよい従者になります。[7:2]つまり、デイドラの霊で動く骨は、生前のその人ではありません。
作中では、死霊術の知識の多くがデイドラ、とくにモラグ・バルから来たと語られます。[1:3]モラグ・バルはアンデッドの父と呼ばれ、死霊術師に崇められることも多いデイドラの大公です。[6:2]デイドラの大公は、デイドラの中でも神のように強く、それぞれが異界に自分の領域を持つ者たちです。
縛り方を誤ると、従者は術者に牙をむきます。『芸術と狂気 その1』は、知識と修練なしに死者を起こすと魂の縛りが不完全になり、主と従者の関係が壊れると書いています。[8:2,3]そうなると、起こした死体は術者に向かってきます。[1:7]
まとめると、骨や死体は器で、出来を決めるのは中に入れる霊と、それを縛る術者の腕です。[7:2][8:2]そして器を選ぶときに邪魔になるのが、体の元の持ち主の魂です。[2:4]
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スケルトンが多くゾンビが少ないのはなぜ?|古い骨ほど元の魂が離れている
『死霊術について』は、死体は古いほど元の持ち主の魂が離れていて、霊と体を奪い合わずに起こせるからだと説明しています。[2:4]霊は死んでから数日、ときには数年も、へその緒のように体とつながっています。[2:4]このつながりが残る死体を起こすと、体に戻りたがる元の霊と、術者が入れた霊とで、一つの体を奪い合うことになります。[2:5]反対に、何百年も前の骨なら元の霊はとうに離れていて、奪い合いは起きません。[2:4]
ゾンビには、もう一つ難しさがあります。『死霊術の初心者向け素材』は、肉は昔の自分を覚えていて、忘れさせてからでないと起こして操れないと書いています。[9:8]儀式に加えて、場所を変えることも肉を混乱させる助けになる、と同じ本は書いています。[9:8]骨のほうは、魔法でつないだ骨組みにすぎず、袋に入れて運べるほどです。[9:6]つまりゾンビは、体が生きていたころを覚えているぶん、骨より手間がかかります。
ただし、新しい死体と古い死体のどちらがよいかは、本によって答えが違います。
- 『死霊術について』
古い死体がよい。新しい死体には元の魂がつながっていて、奪い合いになる[2:4] - 『芸術と狂気 その1』
新しい死体がよい。力のある死霊術師は古い死体も起こせるが、ほとんどの術者には新しい死体が必要で、初心者なら死後 3 日以内が目安になる[8:2] - 『スケルトンの召喚』
どちらにも長所がある。新しい骨は丈夫で素早く、古い骨は崩れやすいが大きな力を宿す[7:4,5] - 『死体の世界』
古くても従えて当然。古い骨は時と腐れで鈍くなり少し逆らうが、それを従えられないなら死霊術師を名乗る資格は無い[10:6] - 『死体処理』第1巻
自然に死んだ者がよい。書き手は自然死の死者を好むが、術の研究のためには、もっと手早いやり方も必要になると書く[11:14]
本の答えは割れていて、作中に一つの答えはありません。[2:4][8:2]それでも、本どうしは別の物差しで話している、と読むと食い違いが解けます。『死霊術について』が見ているのは魂の物差しで、新しい死体ほど元の魂が抵抗します。『芸術と狂気 その1』や『スケルトンの召喚』が見ているのは体の物差しで、新しい死体ほど体は丈夫で、腕の浅い術者でも動かしやすくなります。[7:4][8:2]たとえば死後 3 日以内の死体は、体は丈夫でも、元の魂がまだつながっています。何百年も前の骨は、魂は離れていても崩れやすくなっています。どちらを選ぶかは、術者が魂と体のどちらを重く見るかで変わります。[8:2][7:5]
古い墓や遺跡の骨は、元の魂が離れていて奪い合いが起きず、腕のある術者にとっては扱いやすい材料です。[2:4][7:5]起こされた死者にスケルトンが多いことも、この読みと合います。『死体の世界』の書き手も、「世界はすべて墓だ」と書いています。[10:6]死霊術師から見れば、材料の骨は世界のどこにでも眠っている、という意味です。
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スケルトンとゾンビの違いは?|骨は一度きりで死体は何度も起こせる
手引きとは、死霊術師が同業者に書いた『死体処理』の第1〜3巻と、『スケルトンの召喚』のことです。[12:2][7:3]死霊術師の手引きでは、スケルトンは速く丈夫で清潔だが壊れると起こし直せず、ゾンビは鈍く弱いが縫い直せば何十回も起こせる、と比べられています。[12:4][13:3]
骨は強くても、壊れたら起こし直せない一度きりの精鋭です。しかも死体は手に入りにくいので、『死体処理』第2巻は、見つけた骨を準備もなしに片っ端から起こす若い死霊術師を嘆いています。[12:4]ひと言でいえば、骨は使い捨ての精鋭で、死体は弱くても縫い直して使い回せる働き手です。[13:3]
ミイラの従者とは?|塩に漬けて強くしたゾンビ
『死体処理』第3巻は、ただのゾンビを作るのは怠け者か、切羽詰まった術者のやり方だと書いています。[13:4]ミイラの従者は、傷みかけた死体を塩かナトロンに 1 か月以上漬けて布で包んでから起こした物で、ただのゾンビよりずっと強く、自分で考えて命令に従います。[13:5,6]ナトロンは、肉の水気を抜いて腐りにくくする塩の一種です。
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召喚魔法のスケルトンも死霊術?|魔術師ギルドと大学で答えが違う
召喚魔法は、デイドラや亡者を呼び出して、しばらく味方として戦わせる魔法の系統です。Morrowind には「スケルトン・ミニオン召喚」や「下級ボーンウォーカー召喚」のように、骨や亡者を呼ぶ術もあります。召喚魔法で呼ぶアンデッドを死霊術とみなすかは組織で違い、魔術師ギルドは死霊術を禁じ、のちのウィンターホールド大学は死霊術もほかの魔法と同じ道具とみなしています。[14:20][15:33]
『黒魔術裁判』は、Oblivion の時代の魔術師ギルドのアークメイジ(ギルドの長)、ハンニバル・トレイヴンが、ギルドの死霊術への態度を決めた討論をまとめた本です。結論は、ギルドは黒魔術の研究を許さないというもので、例外は死霊術師と戦うために、許しと見張りのもとで学ぶときだけでした。[14:20]禁じるのに反対した学者は、召喚術で守護の霊を呼ぶ学生はすでに死霊術に触れていると言い返しています。[14:17]言いかえると、ギルドが教えている召喚術も、中身は死霊術と地続きだという反論です。
Skyrim の時代の第四紀には魔術師ギルドはもう無く、ウィンターホールド大学で召喚魔法を教えるフィニスは、そうした古い決まりは魔術師ギルドとともに消え、大学では守られたこともないと言います。[15:33]そのうえで、「死霊術も、ほかの魔法と同じく使うための道具だ」と言い切ります。[15:33]つまり Skyrim の大学には、死霊術だからという理由で学ぶのを止める決まりがありません。[15:33]
呼ばれる骨や死体の出どころも、一つではありません。ゾンビは召喚でき、魔術師はオブリビオンから呼ぶ術を学べます。[16:1]また、ソウル・ケルンの主たちと取引し、魂と引き換えに、そこからアンデッドの軍を呼ぶ力を得る死霊術師もいます。[1:77]ソウル・ケルンは、捕らえられた死者の魂で満ちたオブリビオンの領域です。[17:2]

まとめると、骨を墓から掘り起こすか異界から呼ぶかで死霊術かどうかが決まってきたのではなく、それを教える組織の決まりで決まってきました。[14:17][15:33]
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死霊術は学問として認められてきた?|魔術師ギルドの討論と死霊術師の言い分
死霊術はサイジック会にも魔術師ギルドにも禁じられてきましたが、ギルドの中でも学ぶべきかの討論が続き、死霊術師の側も偽善だと言い返してきました。魔術師ギルドより古い賢者の会、サイジック会は、死霊術を危険で異端だとして禁じています。[1:30]ギルドを開いたヴァヌス・ガレリオンも、ギルドで死霊術を教えることは許しませんでした。[14:4]
第三紀の終わりのアークメイジ、ハンニバル・トレイヴンは、『黒魔術裁判』に二人の学者の討論をまとめています。オークの国オルシニウムの学者グラ=コグが教えるべき側に、エルスウェアの町コリンスの学者カーリスが禁じるべき側に立ちました。
| 論点 | グラ=コグ(教えるべき) | カーリス(禁じるべき) |
|---|---|---|
| 学問として | 死霊術は誤解されている。学問で自分を検閲するのは、ギルドの使命に反する[14:9] | 死霊術は文明の世界で忌まれていて、教えればモロウウィンドなどで認可を失う[14:11] |
| 危なさ | どの系統の魔法も、学び始めの者には危ない[14:16] | 最も単純な術でも血を流し、すぐに術者の魂を損ない始める[14:15] |
| 死霊術師と戦うには | 死霊術師はタムリエルの災いで、戦うにはその力を知る必要がある[14:13] | 敵を知るのはよいが、深入りすれば自分が悪に染まる[14:14] |
| 今の決まり | ギルドはすでに一部の死霊術を許している(守護の霊の召喚や、捕らえた魂で武器に魔法を込める付呪)[14:17] | ほかの系統の決まった術は、長い年月で安全が確かめられている[14:18] |
二人とも、死霊術師と戦うことは大事だと考えています。そのうえでグラ=コグは知らなければ戦えないと言い、カーリスは近づけば自分が悪に染まると言って、逆の答えを出しています。[14:13,14]
トレイヴンはこの討論を受けて、死霊術と戦うため以外の研究を禁じました。[14:20]ところが本のあとがきは、教えるべきだと論じたグラ=コグ自身が死霊術師だったと明かし、ギルドを守るランプ騎士団が捕らえようとしたものの、逃げられたと書いています。[14:22]ギルドの討論の場に、当の死霊術師がまぎれこんでいたわけです。
禁じられた側も黙ってはいません。『死霊術:大討論』の書き手は、死罪で禁じるギルドを「偽善者」と呼び、「我らは死を支配する」と言い返しています。[18:2]書き手が怒っているのは、同じ魔法なのに自分たちのやり方だけが黒魔術と呼ばれ、死罪にしてまで禁じられることです。[18:2]
学者の側の理論も残っています。『魂 その黒きや白き』は、魂の本性は知りえないとしつつ、魂が無ければ生き物は「肉の塊か骨の山」にすぎないと書きます。[19:2,3]魂石は、倒した相手の魂を閉じこめ、武器や防具に魔法を込める付呪に使う石です。そして人やエルフのような大きな生き物の魂を入れられるのは、まれな黒魂石だけで、ギルドは黒魂石を満たす死霊術を禁じていると続けます。[19:4,5]言いかえると、ギルドが禁じているのは、人やエルフの魂を石に閉じこめるやり方です。
それでも死霊術は、ただ嫌われてきただけではありません。祝日の黄泉返りの日は、死霊術を最古の魔法の学として重んじる日で、同時に路地を歩く死者を怖れる迷信も残る日です。[20:2]魔術師ギルドはこの日に魔法のアイテムが半額で売れて潤い、モロウウィンドではこの日を祖先の日として祝います。[20:3]死霊術は怖がられながらも、魔法の学びの中ではいちばん古い分野として、一目置かれてもきたのです。[20:2]
善い死霊術はある?|ヴァスタリーの霊の石と隠された月の教団
作中には魂を苦しめない死霊術を求めた者がいて、ヴァスタリーは死者の魂を石に留めて話を聞き、天上へ帰す術を作りました。[21:22,24]天上とは、死者の魂が帰っていく天の世界エセリウスのことです。
ESO に登場するヴァスタリーは、弟子が書いた『ヴァスタリーの伝説』によると、サイジック会の学生でした。同じころの学生には、ガレリオンと、のちに「虫の王」と呼ばれる死霊術師マニマルコがいました。ヴァスタリーが求めたのは、死の時に魂が去るのを遅らせ、その知恵を聞き取れるようにする術でした。[21:7]
ヴァスタリーはマニマルコと共に、モラグ・バルの領域コールドハーバーへ入り、黒い結晶を持ち帰りました。[21:10]魂を閉じこめて逃がさないその結晶は、マニマルコには完璧な物でした。[21:11]ヴァスタリーはそれを砕いて調べ、最初のシジル・ジオードを作りますが、この石は壊れやすく数日しか魂を留められず、魂石のように使うと魂は解き放たれました。[21:12,13,14]付呪に使えない石に、マニマルコは激怒しました。[21:15]
つまり同じ結晶から、マニマルコは魂を閉じこめておく石を、ヴァスタリーは魂をしばらく預かって帰す石を求めていました。[21:7,11]
ヴァスタリーはのちに、死の瞬間の魂を石の中に留め、話を聞いたあとで天上へ帰す術を仕上げました。[21:22,24]その実演を見に来たヴァヌス・ガレリオンは、魂が器に縛られるのを見て青ざめて去っています。[21:23,24]魂を苦しめないつもりの術でも、魂を器に縛ること自体が、ほかの魔術師にはおぞましく見えたのです。
冒険者の集まりアンドーンテッドの一人、イ・ザレは、『善意の死霊術は存在する』で、付呪に使う魂石も、死の淵から呼び戻す治癒も死霊術の恵みだと書きます。[22:2]そして自分は霊を力ずくで引き戻さず「道を開いて招くだけ」で、ギルドは禁じるより規制すべきだと説きます。[22:3]言いかえると、ふだん皆が使っている付呪や治癒の魔法にも死霊術とつながる物がまじっているのだから、すべてを悪とは決めつけられない、という主張です。
猫の姿をした民カジートの古い隠された月の教団も、死霊術を使っていました。暗い霊ドロ・マスラになった魂が汚れをあがない、あの世へ渡っていけるようにするための術です。[23:1]
善い死霊術を説く者に共通するのは、霊を力ずくで縛らないことです。ヴァスタリーは留めた魂を帰し、イ・ザレは招くだけだと言います。[21:24][22:3]
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死霊術師はどんな実験をしてきた?|氷の従者と縫い合わせた体
死霊術師は、氷に霊を縛った従者、多くの骨を組んだ巨体、切り刻んで縫い合わせた体、動物の亡者まで、死者を動かす実験を重ねてきました。[1:15,16]
『実験日誌』の書き手は、奴隷の死体が手に入りにくくなり、「凍れる軍団の書」を見つけて、人の死体を呼び出した霜で包み、忠実な霊を体でなく氷に縛るやり方にたどり着きました。[24:3][1:16]できた従者の知恵はスケルトンと同じくらいで、目を離すと日なたへ出て、氷が溶けてしまうこともあります。[24:4]死体そのものではなく、体を包んだ氷を器にしたので、日に当たると従者ごと溶けてしまいます。[24:3]
欠けた体を使う手もあります。骨の炉という場所では、欠けた体を魔法の儀式で元の形に作り直せます。[1:15]ボーン・コロッサスのような巨体は、多くの死体の骨を組んで作られます。[1:15]
『実践的死霊術』は、粗い材料を力仕事のために動かす章に続けて、霊そのものをつなぎとめる手順を書いています。[25:3]材料は殺した獣の皮とナイトシェード、そして人かエルフの苦しむ霊を入れた霊石で、チョークと塩と灰を混ぜた円の中で、呼んだ霊を霊石につなぎます。[25:5,7,8,11]体の代わりに石を器にして、そこへ霊をつないでおく手順です。
レルミナ・ヴェレニムは、生き物の体をいじる肉の魔術の、行き過ぎた実験で魔術師ギルドを追われ、狂気のデイドラの大公シェオゴラスの領域シヴァリング・アイルズ(Oblivion の追加コンテンツの舞台)で研究を続けました。[26:2]彼女は魔法をかけた体の部分を縫い合わせて巨体の門番ゲートキーパーを作り、生き物を切り刻んではよみがえらせて戦わせ、猟犬にゾンビの血を入れる計画まで立てています。[26:3][1:75]
動物の骨や死体も起こせます。『蘇生実験の成果』によると、体のつくりを知らない術者が起こすと歪んだ姿になり、体と魂の結びつきが弱いので意識はほとんど無く、つきっきりで操ることになります。[27:5][28:8]『死体処理』第1巻は、動物はよくて番犬にしかならず、主人とほかの生き物を見分けられないので、自分の作った動物に引き裂かれた素人も多いと書いています。[11:15]
駆け出しの死霊術師の記録もあります。『ニコラス・ドゥーアレの日記』の書き手は、地下墓所で、生前はたくましい若者だった頭骨に初めて術をかけました。[29:2]骨はおぞましい叫びを上げて立ち上がり、震える書き手の前でうやうやしく頭を下げ、書き手は「初めての術は大成功」と書き残しています。[29:3,4,6]『ゴーラーの日記 パート1』の書き手は、昔からのならわしどおり、自作のゾンビを大死霊術師の遺跡へ送って弟子入りを願いました。[30:8][16:1]自作のゾンビが、腕前を見せる見本の代わりでした。
リッチになるには?|魂を器へ移す死霊術の行き着く先
リッチは生前の自分の魂で自分の死体を起こした者で、多くの死霊術師にとって究極の目標です。[5:13][1:18]リッチになるには、力ある遺物を焦点に生きた魂をひどく痛い方法で奪い、自分の魂を物へ移しきる必要があり、なれた死霊術師は多くありません。[1:18,19,20]かんたんに言えば、リッチになる儀式とは、ほかの人の魂を代価にして、自分の魂を体の外の器へ移しておくことです。[1:19,20]
『虫の王マニマルコ』は、死霊術師マニマルコを「不死のリッチの最初の者」と詠んでいます。[31:43]
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死霊術師は死体をどこで手に入れる?|法で禁じたのはモロウウィンドだけ
『死体処理』第1巻は、タムリエル北西の州ハイロック生まれの死霊術師が、州ごとの死体の手に入れ方を同業者に書いた手引きです。[11:11]『死体処理』第1巻によると、死体の手に入れやすさは州ごとの法と信仰と葬り方で決まり、死霊術を法で禁じているのはモロウウィンドだけです。[11:2]
タムリエルの州を束ねる帝国では、死霊術そのものは正当な学問ですが、体と魂は持ち主の財産で、許しなく使うことはできません。[32:46]つまり帝国では、死霊術を学ぶこと自体は罪ではなく、他人の体や魂を勝手に使うことが罪になります。
第1巻が挙げる州ごとの事情は、次のとおりです。
| 州 | 手に入れやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| シロディール | 手に入る | 帝国に仕えた死霊術師は、罪人と反逆者の死体を法に沿ってもらえる[11:3] |
| モロウウィンド | 法で禁止 | 神殿は荒らされた墓や盗まれた灰を調べるが、奴隷が消えても逃げたかアッシュランドで死んだと思われる[11:4] |
| ブラック・マーシュ | ほぼ無理 | 死体がすぐに腐る[11:5] |
| エルスウェア | 手に入りやすい | 砂漠が死体を何百年も保ち、センチャルの港では何でも買える[11:6] |
| ヴァレンウッド | 少ない | ボズマー(ウッドエルフ)が敵を食べるので、死体が残らない[11:7] |
| サマーセット | 最も危ない | ほかの種族の死霊術師は、捕まれば最悪の罰を受ける[11:8] |
| ハンマーフェル | 戦のあとや辺境だけ | アーケイの信仰が最も強く、死者はほぼ必ずアーケイの法に従って葬られる[11:9] |
| オルシニウム | 取り決めを交渉中 | オークの死体は皮と骨が丈夫で最も求められ、死体を引き取る取り決めを持ちかけている[11:10] |
| ハイロック | 南と戦場跡 | 北では火葬が決まりで、南は墓地への埋葬が多く、戦場跡にも死体が残る[11:11] |
| スカイリム | 見つけにくい | 寒さが死体を保つが、雪で見つけにくい[11:12] |
表から言えるのは、死体を守っているのが法よりも信仰と葬り方だということです。アーケイの法や北の火葬、深い雪と敵を食べる習わしが、死霊術師の手から死体を遠ざけています。[11:7,9,11,12]反対に、法で禁じたモロウウィンドでは奴隷制が抜け道になり、禁じたあとも死霊術はしばらく続きました。[11:4][1:55]奴隷が消えても、逃げたか荒れ地で死んだと思われて詳しく調べられないので、法があっても死体は手に入ったのです。[11:4]
アーケイは、生と死の巡りの神です。[33:2]信徒の儀式で正しく葬られた死体は、アーケイの法に守られ、起こされることがありません。[1:32][34:5]死霊術師の側の嘆きも残っていて、「虫の王」を指す KW と署名した『敵としてのアーケイ』は、アーケイの祝福は大胆な者には曲がるが、アーケイの法は揺るがないと書いています。[1:82][34:5]祝福は人やエルフの魂を許しなく使わせない守りで、大胆な術者なら抜け道を探せます。一方、正しい儀式で葬られた死体を起こさせない法には、抜け道がありません。[34:5]死霊術を今の形にしたマニマルコが恐れたのも、アーケイだけでした。[1:32]
祖先の死体はどう守られている?|レッドガードの結界とアルゴニアンの墓杭
レッドガードはトゥワッカの名で清めた死体をアンセイの結界で守り、アルゴニアンは墓杭で死体を沼の底に留めています。レッドガードは、ハンマーフェルに住む人間の民です。トゥワッカはその死者の神で、アンセイの結界は、砂漠の地アリクルの死者にかけられた守りです。[16:8]
レッドガードは、起こされた祖先をラー・ネトゥと呼びます。[16:7]レッドガードの信仰では死者を打つことは呪いで恥なので、祖先のラー・ネトゥとは戦いにくいのです。[16:8]
その代わり、トゥワッカの名で清めた体は、アンセイの結界のもとでは強い死霊術でも起こせません。[16:8]ラー・ネトゥの多くは、海で失われた者や忘れられた墓地の死体のように、清められなかった体から起こされます。[16:8]起こされた祖先とは戦えないぶん、起こされる前に体を守るのが、レッドガードのやり方です。
沼地ブラック・マーシュに住むトカゲの姿の民アルゴニアンは、死者を沼に葬り、墓杭で地に留めて、杭にその人の一生の物語を刻みます。[16:4]杭が抜かれると、死体はボグ・ブライトという亡者として起き上がります。[16:5]杭は、死者を沼に留める重しであり、その人の墓碑でもあります。
どの土地の守りも、葬りの儀式をした死体は起こさせないという向きは同じです。[34:5][16:8]だから死霊術師は、奴隷や海で失われた者、忘れられた墓のように、儀式の外にある死体を狙います。[11:4][16:8]
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歴史の中で亡者の軍勢は何をしてきた?|アイレイドから狼の女王まで
TES の歴史は、神話紀・第一紀・第二紀・第三紀・第四紀と数えます。亡者の軍勢はアイレイドの時代から第四紀まで戦争や反乱のたびに使われ、マニマルコの黒き虫の教団は死霊術そのものの形を変えました。[1:32,39]形を変えたとは、今に伝わる死霊術がマニマルコから始まった、ということです。[1:32]
主な出来事を古い順に並べると、次のようになります。
- 神話紀
アイレイド(Oblivion の遺跡を残した古代のエルフ)の都アバガーラスはモラグ・バル信仰の中心で、敵に亡者の大群を送った。ヴァレンウッドのアイレイドの都では、名の伝わらない死霊術師が、森に命を与える力の源「ヴァレンウッドの心臓」をねじ曲げて亡者の大群を起こし、都ごと封じられた[1:39,69] - 第一紀の終わり
皇帝レマン二世の治世に、帝国じゅうで死霊術が廃されたとされる。帝国全体で廃されたと伝わるのは、この時だけ[1:38] - 第二紀のはじめ
サイジック会の学生だったマニマルコが死者を起こして咎められ、追い出されて黒き虫の教団を作った。同じ学生で、のちに魔術師ギルドを開くガレリオンとの争いは大きな戦いになり、マニマルコはリッチになってガレリオンを奴隷にしたと伝わる[1:33] - 第二紀 582 年ごろ
ESO の時代。モラグ・バルの領域コールドハーバーでは魂を奪われた奴隷が虫の城を建て、帝国の都の帝都ではスケルトンが記念区を掘らされた。リーチの死霊術師アンゴフは、ハイロックの人間の民ブレトンの貴族が眠る大墓地を汚し、海賊のブラックハート船長と船員はスケルトンに変えられてモラグ・バルに操られた[1:47,71][27:9,10] - 第三紀 137 年
スカイリムの都ソリチュードを治め、狼の女王と呼ばれたポテマが、死霊術師と共に倒れた敵から亡者の軍を起こして帝国を攻め続け、この年に倒された[1:62] - 第三紀 249 年
キャモランの簒奪者がデイドラと亡者の大軍を起こし、ヴァレンウッドを 2 年で取った。10 年あまり西タムリエルを荒らした亡者の軍は、第三紀 267 年に、ハイロックの国々をまとめたオスロック男爵に破られた[1:48,69] - 第三紀 253 年
ハイロックのドワイネンの人々が、リッチと亡者の大群に支配された。このリッチを倒したのが、のちに男爵となるオスロックだった[1:48] - 第三紀 427 年
Morrowind の時代。死霊術を法で禁じている州は、モロウウィンドだけになっていた[1:55] - 第三紀の終わり
Oblivion の時代。黒き虫の教団は、マニマルコが神になって「死霊術師の月」に昇ったと信じ、その月の光で大魂石を、人の魂も捕らえられる黒魂石に変える祭壇を作った。Oblivion の魔術師ギルドの仕事で戦う死霊術師たちが、この教団[1:73][35:6][36:10] - 第四紀 201 年ごろ
Skyrim の時代。死霊術師たちがポテマの霊を呼び出して縛ろうとし、ドラゴンボーン(Skyrim の主人公)に阻まれた[1:62]

年表から見えるのは、亡者の軍勢が倒れた敵をそのまま兵に変える軍だということです。ポテマは倒れた敵から亡者の軍を起こし、簒奪者の亡者の軍は 10 年あまり西タムリエルを荒らしました。[1:48,62]戦が長引くほど死体が増え、死体が増えるほど軍が大きくなるわけです。
『死霊術師の月』は、黒き虫の教団の信徒に向けて、「虫の神が我らの教団を見守っている」と書き、捧げた大魂石は黒くなり人の魂を捕らえられる、下僕を起こし従者を呼べと説いています。[35:5,6,8]年表の第三紀の終わりにある祭壇は、この教えに沿って作られた物です。[1:73]
モロウウィンドで疑われた死霊術師は?|村の治癒師と元ギルド員
モロウウィンドでは、証拠の無いまま死霊術師と疑われた治癒師が魔術師ギルドに命を狙われていて、死霊術の疑いが人を追い詰める道具にもなっています。ゲームでは、この話はプレイヤーがバルモラ(Morrowind の町)の魔術師ギルドで受ける仕事として出てきます。ギルドの長ラニス・アスリスは、北の村マール・ガンのタシュピ・アシバエルを死霊術師として始末しろと命じます。[37:16]
ところが村の人々は口をそろえて「タシュピは村の治癒師で、死霊術師なんかじゃない」と言います。[38:7]本人も「私は死霊術師じゃない」と否定し、魔術師ギルドに入るのを断ってからラニスに恨まれているのだと打ち明けます。[38:14][37:22]プレイヤーは彼女を殺すことも、死んだと報告して逃がすこともでき、彼女が死霊術師だという直接の証拠はどこにもありません。[37:16,32]

一方、サドリス・モラの魔術師ギルドの長スキンクが討てと頼むテルラ・ウルヴェルは、死霊術に手を染めた元ギルド員で、亡者のさまよう洞窟シャルの奥に潜んでいます。[39:15,17]亡者の研究に詳しいバルモラのギルド員シャーンも、死霊術師かと聞かれると「絶対に違う」と言い張ります。[32:41]
ダンマー(モロウウィンドに住むダークエルフ)が死霊術師を処刑する土地では、死霊術の疑いをかけるだけで人を消せます。[32:46]タシュピの件は、死霊術の禁止が、証拠の無い疑いの道具にもなりうることを見せています。[37:22,32]ラニスの命令も、死霊術の証拠からではなく、ギルドへの誘いを断られた恨みから出ていたのかもしれません。[37:22]
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ボーンウォーカーは死霊術?|ダンマーは祖先の聖なる務めと呼ぶ
ボーンウォーカーはダンマーが祖先の墓を守らせるために聖なる儀式で作る亡者で、ダンマー自身は死霊術と認めませんが、外の人の多くには死霊術に見えます。[40:5,8]

ダンマーは、聖なる務めを果たす祖霊と、術者に仕える奴隷とをはっきり分け、冒涜の儀式でボーンウォーカーを呼ぶことを死霊術としています。[40:8]つまりダンマーにとって、祖先が自ら務めを果たすのは信仰で、霊を奴隷のように縛るのが死霊術です。
バルモラの魔術師ギルドにいるオークの学者シャーン・グラ=ムズゴブは、この分け方に納得していません。死霊術師を処刑するダンマーが、自分たちの死者を呼んで墓と一族を守らせるのは馬鹿げている、と言うのです。[32:46]シャーンはダンマーの考えを次のようにまとめ、「原始的な迷信」だと切り捨てます。[32:46]
“聖なる死霊術は正しく、哲学的な死霊術は邪悪だ。”
シャーン・グラ=ムズゴブの台詞より(訳は Morrowind 日本語化)
(Sacred necromancy is righteous, while philosophical necromancy is evil.)
線は、行いではなく誰の死体かに引かれています。ダンマーは別のダンマーの死体を操ることは忌みましたが、人間や動物、鳥や虫の死体への死霊術は禁じませんでした。[1:54]言いかえると、ダンマーが嫌ったのは死体を動かすこと自体ではなく、同じダンマーの体を勝手に使うことでした。魔術師の名家テルヴァンニ家は、死霊術の腕で名を知られています。[1:54]『不浄の軍団』の書き手も、家族が祖先を縛るやり方を「ダークエルフは死霊術ではないと言い張る」と書いています。[5:8]
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ドラウグルはゾンビ?|竜教団の命の力で動く墓の従者
ドラウグルは、古代ノルド(スカイリムに住む人間の民)の亡者で、起こす前にミイラにされています。[41:6]Skyrim で、墓の壁の棺から起き上がって襲ってくるのがドラウグルです。スカイリムのドラウグルの多くは、死霊術師が起こしたゾンビではなく、ドラゴン・プリーストに仕えて共に葬られ、毎晩起きて司祭に命の力を送る墓の従者です。[41:9][42:52]
ドラゴン・プリーストは、竜を神と崇めた古代の司祭です。ドラウグルの眠る墓はスカイリムのほか、Skyrim の追加コンテンツ「ドラゴンボーン」で行く島ソルスセイムにもあります。[41:6]
死霊術師がドラウグルを起こすこともあり、忠実な霊を入れれば、墓の従者のドラウグルさえ従えられます。[1:60]
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ドラゴン・プリーストとは?|従者の命で生きる竜の司祭
ドラゴン・プリーストは竜を神と崇めた竜教団の司祭で、死後は従者のドラウグルの命の力で生かされる、死霊術師とは違う特別なリッチになりました。[42:52]死霊術師のリッチは自分の魂を物に移して一人で生きますが、ドラゴン・プリーストは従者に生かされていて、主と従者の力の向きが逆です。[1:20][42:52]かんたんに言えば、死霊術師は従者を動かす側で、ドラゴン・プリーストは従者に生かされる側です。
竜教団は、いつか竜の長アルドゥイン(Skyrim で主人公が戦う竜)が戻って竜を死からよみがえらせると信じていて、待っていたのは死霊術ではなく本当の復活でした。[42:27][2:6]
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亡者を動かすものは一つ?|縛った霊と命の力と呪いを比べる
亡者を動かすものは一つではなく、術者が縛った霊、体に残る元の魂、祖先の霊、命の力、自分の魂、呪いと、亡者ごとに違います。ここまでに出てきた亡者を、中で動かすものごとに並べると次のとおりです。
| 動かすもの | 亡者の例 | 中にいるのは生前の本人か |
|---|---|---|
| 術者が縛った霊(多くは小さなデイドラ) | 死霊術師のスケルトンとゾンビ | 本人ではなく、生前の記憶も無い[5:6][7:2] |
| 体に残る元の持ち主の魂 | 新しすぎる死体を起こした亡者 | 本人の霊が残り、術者と体を奪い合う[2:4,5] |
| 祖先の霊 | ボーンウォーカー | 祖霊自身が聖なる務めを果たす[40:8] |
| 命の力 | 竜教団のドラウグル | 魂はあの世へ去っているかもしれない[41:10] |
| 従者の命の力 | ドラゴン・プリースト | 司祭自身[42:52] |
| 物に移した自分の魂 | リッチ、ドラウグル・ロード・アエスリップ | 本人[5:13][41:13] |
| 神の呪い | ソルスセイムのドラウグル | 呪われた本人[41:12] |
| 氷に縛った霊 | 氷の従者 | 体ではなく氷を動かす霊[24:3] |
| 異界の魂 | ソウル・ケルンから呼ぶアンデッドの軍 | 捕らえられた死者の魂[1:77][17:2] |
表を見ると、中が生前の本人かどうかと、死霊術として嫌われるかどうかは一致しません。本人ではない骨のスケルトンは忌まれ、本人である祖霊のボーンウォーカーは聖なる務めとされます。[40:8]嫌われる理由は、学者が書くように望まない霊を縛ることにあり、アーケイの祝福も、人やエルフの魂を許しなく使わせないことで死霊術を阻みます。[5:3][34:5]
死霊術かどうかの線は、どの土地でも「誰の死体を、誰の許しで起こすか」に引かれています。帝国は持ち主の許しで、アーケイの信徒は葬りの儀式で、ダンマーは祖先への聖なる儀式でその線を引き、善い死霊術を説く者は霊を「招く」と言います。[32:46][34:5][40:8][22:3]スケルトンもゾンビも同じ術で動きますが、それを死霊術と呼ぶかどうかは、死者を誰の物と見るかで決まります。墓や遺跡で出会ったあのスケルトンは、だれの許しで起こされたのでしょうか。
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よくある質問
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参考文献
記事で引いた本と台詞の原文は、次のとおりです。番号の後ろの「行」の数字は、引いた一文へのリンクです。
- UESP「Necromancy」(死霊術) 行2,3,7,15,16,18~20,30,32,33,38,39,47,48,54,55,60,62,69,71,73,75,77,82
- V『死霊術について』(On Necromancy。ESO の本) 行2,4~6
- The Imperial Library「On Necromancy」(英語の原文)
- 当サイトの訳『死霊術について』(全訳)
- エリンヒルのファラスタス『不浄の軍団』(Unhallowed Legions。ESO の本) 行3,6,8,11,13
- UESP「Undead」(アンデッド) 行2
- 『スケルトンの召喚』(On Summoning Skeletons。ESO の本) 行2~5
- 『芸術と狂気 その1』(The Art and the Madness v.1。ESO の本) 行2,3
- 不死のギララ『死霊術の初心者向け素材』(Materials for Novice Necromancers。ESO の本) 行6,8
- 『死体の世界』(A World of Corpses。ESO の本) 行6
- 『死体処理』第1巻(Corpse Preparation v I。Morrowind の本) 行2~12,14,15
- 『死体処理』第2巻(Corpse Preparation v II。Morrowind の本) 行2,4
- 『死体処理』第3巻(Corpse Preparation v III。Morrowind の本) 行3~6
- ハンニバル・トレイヴン『黒魔術裁判』(The Black Arts On Trial。Oblivion・Skyrim の本) 行4,9,11,13~18,20,22
- Skyrim のフィニスの台詞(UESP「Phinis Gestor」) 行33
- UESP「Zombie」(ゾンビ) 行1,4,5,7,8
- UESP「Soul Cairn」 行2
- 『死霊術:大討論』(Necromancy: The Great Debate。ESO の本) 行2
- 『魂 その黒きや白き』(Souls, Black and White。Oblivion・Skyrim の本) 行2~5
- UESP「Tales and Tallows」(黄泉返りの日) 行2,3
- 『ヴァスタリーの伝説』(The Legend of Vastarie。ESO の本) 行7,10~15,22~24
- アンドーンテッドのイ・ザレ『善意の死霊術は存在する』(Benevolent Necromancy, it Exists。ESO の本) 行2,3
- UESP「Order of the Hidden Moon」(隠された月の教団) 行1
- 『実験日誌』(Experiment Journal。ESO の本) 行3,4
- 『実践的死霊術』(Practical Necromancy。ESO の本) 行3,5,7,8,11
- UESP「Relmyna Verenim」(レルミナ・ヴェレニム) 行2,3
- UESP「Skeleton」(スケルトン) 行5,9,10
- 『蘇生実験の成果』(Reanimation Experiment Findings。ESO の本) 行8
- 『ニコラス・ドゥーアレの日記』(Journal of Nicolas Douare。ESO の本) 行2~4,6
- 『ゴーラーの日記 パート1』(Gorlar’s Journal, Part One。ESO の本) 行8
- ホリクレス『虫の王マニマルコ』(Mannimarco, King of Worms。Oblivion・Skyrim の本) 行43
- Morrowind のシャーン・グラ=ムズゴブの台詞(UESP「Sharn gra-Muzgob」) 行41,46
- UESP「Arkay」(アーケイ) 行2
- 『敵としてのアーケイ』(Arkay the Enemy。Morrowind・Skyrim・ESO の本) 行5
- 『死霊術師の月』(Necromancer’s Moon。Oblivion の本) 行5,6,8
- UESP「Order of the Black Worm」 行10
- Morrowind の魔術師ギルドの仕事、タシュピ・アシバエルの件(UESP「Kill Necromancer Tashpi Ashibael」) 行16,22,32
- Morrowind のタシュピ・アシバエルの台詞(UESP「Tashpi Ashibael」) 行7,14
- Morrowind の魔術師ギルドの仕事、テルラ・ウルヴェルの件(UESP「Kill Necromancer Telura Ulver」) 行15,17
- UESP「Bonewalker」(ボーンウォーカー) 行5,8
- UESP「Draugr」(ドラウグル) 行6,9,10,12,13
- UESP「Dragon Cult」(竜教団) 行27,52
- コリスティール『礼儀と作法 第5巻:アンデッド』(Civility and Etiquette V. 5: Undead。ESO の本) 行3,5~7,9

























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