
星霜の書は、Skyrim で主人公が読むあの巻物で、過去と未来の出来事を記しています。[1:2]ところが、TES6 のトレーラーの最後に出る、初登場の聖蚕の僧侶ヤザールの言葉は、巻物に見えたのはかすかな光だけだったと語り、失われた未来と覆された勝利を挙げて終わります。[2:3]
“巻物が見せたのは、かすかな光だけだった。薄いヴェールが、私の目の前でわずかに上がっただけだ。失われた未来。覆された勝利。運命に散らされた時の砂”
ハンマーフェルの上級女王イラドネに仕える聖蚕の僧侶、ヤザール(第四紀 206 年)。訳は当サイトによる物です
(The scroll offered only a shimmer, a veil thinly lifted to my eyes. A future lost. A victory undone. Sands of time scattered by fate.)
だれの未来が失われ、だれの勝利が覆されたのかは、どこにも書かれていません。公式の説明も無いので、この問いに完全な答えはありません。それでも、言葉の 1つ 1つには、これまでの作品につながる手がかりがあります。
トレーラーの署名とは?|巻物を読んだ僧侶の記録
トレーラーの署名は、聖蚕の僧侶ヤザールが巻物を読んで見た物を書き留めた、第四紀 206 年の記録です。[2:6]聖蚕の僧侶は、星霜の書を読むことを許された人たちです。Skyrim の追加コンテンツ「ドーンガード」で巻物を読むデキソンも、その 1人です。読むたびに目が悪くなり、やがて目を失います。[3:5]第四紀は Skyrim の時代の暦で、第四紀 206 年は Skyrim の 5 年後に当たります。[4:35]
ヤザールは、このトレーラーで初めて名前が出た人物です。これまでのどの作品にも登場していません。主の上級女王イラドネも、同じく今回が初登場です。公式の日本語の表記がまだ無いので、2人の名前の読み方は当サイトの物です。
1 行を句に分けると、文だけから分かることは次のとおりです。
| 原文 | 訳 | 文だけで分かること |
|---|---|---|
| The scroll offered only a shimmer | 巻物が見せたのは、かすかな光だけだった | 読めた物が少ない |
| a veil thinly lifted to my eyes | 薄いヴェールが、私の目の前でわずかに上がっただけだ | 本人の目で読んだ |
| A future lost | 失われた未来 | だれの未来かは書かれていない |
| A victory undone | 覆された勝利 | だれの勝利かは書かれていない |
| Sands of time scattered by fate | 運命に散らされた時の砂 | 散らしたのは運命 |
| Yazar, Moth Priest of High Queen Iradne of Hammerfell | ハンマーフェルの上級女王イラドネに仕える聖蚕の僧侶、ヤザール | 僧侶の主は女王 |
| 4E 206 | 第四紀 206 年 | 記録の年 |
後半の途切れた短い句は、聖蚕の僧侶が巻物を読んだときの記録の形と合います。シリーズのオンライン作品 ESO(The Elder Scrolls Online)には、聖蚕の僧侶のシスター・テランが星霜の書で見た物を書き留めたメモが出てきます。[1:62]このメモも、「歩くことが何の関係があるのか」と自分に問い返す、途切れた文の連なりです。[5:4]ヤザールの句も、整えた予言の文というより、読んだ直後の覚え書きと考えるのが自然です。
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なぜ「かすかな光」しか見えなかった?|未来は起きるまで定まらないから
星霜の書の未来の部分は起きるまで定まらないので、ヤザールに見えたのがかすかな光だけでも不思議ではありません。星霜の書の未来の中身は、実現するまでぼやけて揺れ続け、読む者ごと、読むたびごとに変わります。[1:12]

「かすかな光」の原語 shimmer は、聖蚕の僧侶が星霜の書を読む場面にすでに出ています。Skyrim の追加コンテンツ「ドーンガード」で、デキソン・エヴィカスは巻物を読む途中で次のように語ります。[6:61]
“声は遠のき、文字が揺らめいて歪み始める”
デキソン・エヴィカスの台詞より(Skyrim の追加コンテンツ「ドーンガード」)。訳は当サイトによる物です
(The voice fades and the words begin to shimmer and distort.)
「ヴェール」の語にも、前例があります。シリーズ 4 作目 Oblivion に出てくる本『星霜の書の占い』は、星霜の書を読むことを次のように説明しています。[7:2]
“星霜の書そのものが、ヴェールを貫くことができる。巻物は、時の揺らぎそのものを見せる。巻物を読む預言者は、ありうる未来の 1つを見る。別の預言者は、同じだけ確かな別の姿を見るかもしれない。洞察の代償は、読み手の視力である”
『星霜の書の占い』より(Oblivion の本)。訳は当サイトによる物です
(The Elder Scrolls themselves can pierce the veil. They offer a view of the flux of Time itself. The prophet who reads the scroll sees one version of what might be. Another prophet might have a different vision with equal veracity. The price for insight is the reader’s sight.)
つまり、ヤザールの言葉の前半は、シリーズが星霜の書を読む場面に使ってきた語でできています。読む者は「ありうる未来の 1つ」を見るだけで、代償に視力を払います。ヤザールのヴェールが「わずかに」しか上がらなかったのは、見えた物がその 1つの、さらに一部だったからだと思います。
ヤザールの目が限界だった可能性は?|読むたびに失う視力
視力のせいという考え方も成り立ちますが、署名だけでは確かめられません。Skyrim にも出てくる本『星霜の書の効果について』によれば、僧侶が巻物から得る知識は和らげられていて、言葉にするには瞑想が必要です。[8:10]何度も読んだ僧侶には、次に読むのが最後だとしか巻物が教えない日も来ます。[8:12]
ヤザールが「私の目」と書いたのも、この代償を知っているからでしょう。ただ、署名に視力の話は無く、読んだ回数も分かりません。
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ヤザールはなぜ女王のもとにいる?|センチネルの王には盲目の相談役がいた
聖蚕の僧侶は本来、帝都の白金の塔で帝国図書館を守り、読んだ物を帝国の元老院へ伝えてきた者たちです。[3:5][1:32]理由は書かれていませんが、センチネルの王に盲目の相談役が仕えた前例があるので、ヤザールも女王の相談役と考えるのが自然です。
第四紀 175 年に星霜の書が散ると、僧侶たちは探して塔へ戻すために外へ出ました。[3:8]同じ年に、ハンマーフェルは帝国を離れています。[9:46]つまり、ヤザールは、巻物を塔へ戻すはずの教団の者でありながら、帝国を離れた国の女王のもとにいることになります。

手がかりは、シリーズ 2 作目 Daggerfall の時代のハンマーフェルにあります。オラクルと呼ばれる賢女は盲目で、センチネルの王の相談役を務めてきた人物です。[10:2]オラクルは自分の目を神々に捧げ、代わりに未来を見る力を得たと語っています。[10:2]
第三紀 402 年、オラクルはキャマロン王に、戦えば死と敗北が待つと説いて戦に反対し、退けられて宮廷を追われました。[10:5]センチネルはこの戦に敗れ、キャマロン王も命を落としています。[10:5]
目と引き換えに未来を見る者が、王のそばで敗北を告げる。この形は、ヤザールの立場とよく重なります。
女王の都がセンチネルかは発表されていませんが、ハンマーフェルの上級王の玉座はセンチネルへ移された前例があります。[11:138]ヤザールは、ハンマーフェルの王の隣に昔からあった席に座っているのかもしれません。
砂の国でも、巻物は読めます。聖蚕の僧侶が儀式に使う木は砂地にも育つと、ESO のチャナ修道女が語っています。[12:52]
女王は何のために巻物を読ませる?|巻物を持つ軍は勝ちやすいという説
女王の目的は書かれていませんが、星霜の書には戦の勝敗と結びつけられてきた歴史があります。Skyrim よりずっと昔の ESO の時代には、3つの同盟が帝都を争う戦争があり、軍が星霜の書を奪い合いました。先ほどのシスター・テランによれば、巻物は出来事を記すだけの物なのに、巻物を持つ軍はわずかに勝ちやすい結果が出ました。[13:14]教団の僧侶ユークリディウスは、兵が予言を無意識に感じ取り、歴史の流れに沿った選択をするからだと考えました。[13:14]
同じ時代の将軍オルフェオンも、どの同盟も従わせられる予言があると信じて、ハンマーフェルの南の島にある巻物を狙いました。[1:30]ハンマーフェルの女王が僧侶に巻物を読ませるなら、国の勝利のためと考えるのが自然です。ヤザールの言葉に「勝利」の語が出るのは、その報告だからだと思います。
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失われた未来とは何か?|巻物から消えた未来
失われた未来とは、まだ起きていないのに、巻物から見えなくなった未来のことだと思います。星霜の書の未来が変わることは、聖蚕の僧侶にとって珍しい話ではありません。先ほどのシスター・テランは、ESO の公式サイトの問答で次のように語っています。[13:3]
“予言に書かれた出来事を、定まって変わらない物と考えるのは誤りだ。定命の者の行いに応じて未来が変わり、予言が変わるのを、私たち聖蚕会は何度も見てきた”
シスター・テラン・アルミナスの回答より(ESO の公式サイトの問答)。訳は当サイトによる物です
(It is a mistake to think that events prophesized in the Scrolls are fixed and unchangeable; again and again we in the Order of the Ancestor Moth have seen the prophecies alter as the future changes in response to the acts of mortals.)
チャナ修道女も、自分が見てきた物のうち実現したのはごく一部だと語ります。[12:61]さらに、読むことで予言が変わる場合があるとも語っています。[14:28]つまり、読まれた未来の多くは実現しないまま消えていき、読むことそのものが未来を消す場合さえあるわけです。
ESO の物語にも、来るはずだった未来が消えて、起きなかったことになる場合が描かれています。[15:12]ヤザールの「失われた」は、この消えた未来の 1つを指す語と考えられます。
起きた過去を見たのではないの?|定まった過去ははっきり読める
すでに起きた過去なら、かすかな光では終わらないはずです。実現した出来事は巻物の中で定まり、だれが読んでも同じ文になります。[1:12]Oblivion の本『タムリエルの失われた歴史』も、実現した予言の文字は魔法でも変えられないと書いています。[16:3]
この決まりに照らすと、ヤザールの言葉から 1つのことが考えられます。「失われた未来」と「覆された勝利」が第四紀 206 年の時点ですでに定まった出来事なら、巻物ははっきり読めるはずです。視力のせいでないなら、見えた物は、まだ定まっていない出来事ということになります。
日本語の「失われた」は過去の形に見えますが、原文の A future lost は短い句で、時を言っていません。つまり、この言葉は過去の報告ではなく、まだ定まっていない未来についての言葉と考えられます。
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覆された勝利はだれの勝利?|有力なのは第四紀180年のハンマーフェル
候補は 4つあり、いちばん有力なのは、第四紀 180 年にハンマーフェルがアルドメリ自治領を退かせた勝利です。言葉は勝利の名を挙げていないので、候補はロアから拾うしかありません。アルドメリ自治領は、Skyrim でタロス崇拝を取り締まっていたサルモールが率いるエルフの国です。大戦は、第四紀 171 年に始まった帝国と自治領の戦争で、Skyrim の内戦の原因にもなりました。[9:50][17:16]

候補の手がかりと弱い所を並べると、次のとおりです。
| 候補 | 手がかり | 弱い所 |
|---|---|---|
| ハンマーフェルの勝利(第四紀 180 年) | 署名の国の勝利で、Skyrim の時代にもサルモールに狙われている[9:50][18:6] | 敵を滅ぼした勝利ではなく、押しとどめて退かせた勝利 |
| アルドゥインへの勝利(第四紀 201 年) | 星霜の書で得た勝利が一度覆った前例がある[1:24][19:115] | ハンマーフェルとのつながりが無い |
| レッドリングの勝利(第四紀 175 年) | 帝都を取り戻したのに、開戦時の要求とほぼ同じ協定を結んだ[17:12,15] | 覆ったのはすでに定まった過去で、かすかな光と合わない |
| 西の歪みの勝利(第三紀 417 年) | Daggerfall の結末で、時の乱れがセンチネルを大きな王国にした[20:11] | 勝った者が 1つではなく、だれの勝利か決められない |
署名の国の勝利で、しかも第四紀 206 年の先でまだ覆る余地があるのは、ハンマーフェルの勝利だけです。
なぜハンマーフェルの勝利が有力?|条約の破れを見張る密偵の手紙
第四紀 180 年の勝利は、Skyrim の時代にもサルモールに狙われ続けているからです。大戦を終えた白金協定は、タロス崇拝の禁止と、ハンマーフェル南部を自治領に渡すことを決めました。ハンマーフェルの人々レッドガードはこれを拒んで帝国を離れ、5 年戦いました。[9:45,46]第二次ストロス・エムカイ条約で自治領は引き上げ、ハンマーフェルは荒れ果てながらも独立を保ちました。[9:50][11:184]
この勝利が安泰でないことは、Skyrim の追加コンテンツ Creation の 1つ『Redguard Elite Armaments』に書かれています。レッドガードの密偵の組織レムナントの長フィジェは、主人公に渡す指示書の中で次のように書いています。[21:13][18:6]
“サルモールが第二次条約の取り決めを裏切ろうとするなら、我々には分かる。備えもできている”
レッドガードの密偵の長フィジェの指示書より(Skyrim の Creation『Redguard Elite Armaments』)。訳は当サイトによる物です
(If the Thalmor ever plot to betray the terms of the Second Treaty, we will know, and we will be ready.)
フィジェは主人公への手紙で、自治領が引き上げたあともサルモールは秘密裏に攻撃を続けていると書きます。[22:10]手紙の用件も、捕まった仲間がセンチネルの防備を聞き出される前に取り返すことです。[22:11]つまり、Skyrim の時点で、サルモールの手はすでにセンチネルの守りに伸びています。
レムナントは「見張る目」とも呼ばれていて、[22:9]題の Sentinel の「見張り」の意味と重なる呼び名です。
Skyrim 本編でホワイトランに来るレッドガードの戦士ケマツも、ハンマーフェルでは自治領への抵抗が今も続いていると語り、[23:16]帝国と自治領の要人は、サルモールが第二の戦争に備えていると考えていました。[24:21]この勝利が覆るなら、失われるのはハンマーフェルの未来そのものです。言葉を新しい戦いの予感と読む記事は、日本にも海外にも出ています。[25:17][26:17]
アルドゥインへの勝利が覆る可能性は?|星霜の書の勝利は一度覆っている
前例はありますが、ハンマーフェルとのつながりが無いので、可能性は低いと思います。太古のノルドのフェルディルは、星霜の書でアルドゥインを時の先へ送りました。[1:24]パーサーナックスは、アルドゥインは本当に倒されたわけではないと語り、「永遠に失われた」と望んだ者たちを愚かだと切り捨てています。[19:115,121]
これは、星霜の書で得た勝利が、時の流れの先で覆った例です。Skyrim の結末でも、パーサーナックスは主人公に「大いなる勝利」を告げ、見る目のある者には時代を超えて響くと語ります。[19:211][9:63]語はよく響き合いますが、ハンマーフェルの女王の僧侶がこの勝利を語る理由は見当たりません。
レッドリングの勝利と西の歪みは?|決め手を欠く2つの候補
2つとも語は合いますが、言葉の文には当てはまりません。レッドリングの戦いは、大戦の終わりに帝国が帝都を取り戻した勝利です。それなのに、帝国はそのあと開戦時の要求とほぼ同じ白金協定を結びました。[17:12,15]「覆された勝利」という語が似合う出来事ですが、覆ったのはすでに定まった過去なので、巻物はかすかな光で終わらないはずです。
西の歪みは、Daggerfall の結末で起きた時の乱れで、センチネルを大きな王国にした出来事です。ただ、センチネルのほかに湾の別の国も同時に勝ったことになった出来事なので、[20:11]「勝利」の語を 1つの国に当てることができません。
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覆されたとはどういう意味?|奪い返される勝利と無かったことになる勝利
原語の undone には、勝利の結果を奪い返される意味と、勝利そのものが無かったことになる意味があり、ロアの決まりに合うのは前者です。結果を奪い返されるのなら、これは次の戦争の話です。無かったことになるのなら、歴史の書き換えの話です。
後者にも、ロアには前例があります。過去を変えようとした例を並べると、次のとおりです。
| だれが | 何をしようとしたか | どうなったか |
|---|---|---|
| Oblivion のグレイ・フォックス | 星霜の書で、呪いの頭巾が盗まれなかった歴史に書き換えた | 成功し、呪いが解けた[1:33] |
| Oblivion の時代のリッチ、コレリアン | 星霜の書で過去へ戻り、不死の怪物リッチになる前の自分を止める | 時の傷が開き始め、止められた[27:8] |
| ESO の魔術師ジョサジェー | 魔法の杖で過去の悲劇を取り消す | 時に裂け目が開き、別の時の自分が現れた[20:21] |
| ESO の貴族レディ・エドウィグ | 時を数年戻し、バンコライの地の女王になる | 時の罠に閉じ込められた[20:32] |
表のうち成功したのは、星霜の書を使ったグレイ・フォックスだけで、ほかの 3人は時そのものを傷めています。この 1 例も、実現した文字は魔法で変えられないという決まりと食い違う、例外の出来事です。[16:3]レディ・エドウィグの例は、ハンマーフェルとハイロックの境のバンコライで、女王の座のために時を戻そうとした話でもあります。
勝利が無かったことになるには、定まった過去を書き換える大事件が必要です。結果を奪い返される意味なら、定まった過去はそのままで、これから起きる出来事だけで説明がつきます。だから、ロアの決まりに合うのは、奪い返される意味だと思います。
語は時の乱れを指している?|時の傷も「shimmer」と書かれる
語は時の乱れにも合いますが、星霜の書を読む場面の語で説明がつくので、決め手にはなりません。Skyrim の世界のノドの頂上には、時が砕けた跡の「時の傷」があり、主人公はそこで星霜の書を読みました。時の傷は、空気のかすかな揺らめきのように見えることがあり、原文はここでも shimmer です。[27:2]ESO の時の裂け目も、ヴェールの向こうを見て見つける物と説明されています。[20:19]
時の流れが壊れる現象を、ドラゴンブレイクといいます。聖蚕の僧侶がこの時を読もうとすると、星霜の書の字は消えてしまいます。[28:2]シリーズ 3 作目 Morrowind の本は、星霜の書はドラゴンブレイクを語らないのではなく、語れないのだと書いています。[28:2]もしハンマーフェルで時が壊れているなら、巻物が光しか見せないのは当然です。
それでも、shimmer も veil も星霜の書を読む場面の語としてすでに使われているので、時の乱れを持ち出さなくても文は読み解けます。完全解説でも、時の乱れは 4つの可能性の中で根拠がいちばん弱いと書きました。署名の語は手がかりを少し足しますが、この順番は変わらないと思います。
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時の砂を散らしたのは何?|運命と呼ばれた巻物の行方
散らしたのは運命と書かれているだけで犯人の名は無く、時の砂は、消えた未来の残りを指す語だと思います。
「散らされた」の原語 scattered は、デキソンが星霜の書の散逸を語った語と同じです。デキソンは、巻物は第四紀 175 年ごろ帝都から消え、正体の分からない力でタムリエル中に散ったと語りました。[6:68]ヤザールは、同じ語の主に「運命」を置いています。
この句は、トレーラーの絵そのものでもあります。映像の前半は風に流される砂だけで、砂が吹き散らされた跡から宝石の付いた筒が現れます。最後の句は、最初の絵を言葉にしているわけです。
「時の砂」という語には、ロアに次の手がかりがあります。
- 実らなかった運命の残り
ESO の物語では、実らなかった運命は「散らばった残骸」にたとえられ、最後は魔力と「時の塵」に溶かされる[15:12,18] - アルコシュの砂
猫の種族カジートの歌には「時の砂を繕う」という句があり、神話では時の神アルコシュの体が西風に散っている[29:15][15:36] - ハンマーフェルの島の砂
ハンマーフェルの南の島で聖蚕の僧侶を迎えた僧たちは、「浜の砂が去らないように」と祈り、いつか自分たちの行いの意味が明かされることを願った[30:9]
失われた未来の句に続けて読むなら、いちばん合うのは 1つ目です。実らなかった未来が砂のように崩れ、運命に吹き散らされる。ヤザールの最後の句は、消えた未来の行き先を語っていると思います。
運命とはハルメアス・モラのこと?|砂時計の目を持つが選べない王子
砂と運命の語はそろいますが、ハルメアス・モラは結果を見るだけなので、散らした者には当たらないと思います。ハルメアス・モラは、Skyrim の追加コンテンツ「ドラゴンボーン」にも出てくる知識の王子です。聖蚕の僧侶に伝わる話では「運命の王子」と呼ばれ、砂時計の形の目を持ち、[12:79,80]巻物を読むときに使う聖蚕は、その目を羽に負っています。[1:22]それでも、モラは起こりうる結果を知るだけで、どの結果になるかを選ぶことはできません。[15:27]
レッドガードの信仰にも、蛇の神サタカルが世界の運命を決めるという考えがあります。[31:22]ヤザールの「運命」は、特定の神の名というより、人の手に負えない力を指す語と考えるのが穏当です。
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いちばん無理のない解釈は?|女王への警告と書き換えられる未来
さて、ここまで句を 1つずつ見てきました。いちばん無理のない解釈は、ヤザールの言葉を、ハンマーフェルの勝利が覆る未来を見た僧侶から女王への警告と考えることです。この解釈を支える手がかりは、次の 4つです。
- 読んだ物
定まった過去ははっきり読めるので、かすかな光は、まだ定まっていない未来を読んだしるし[1:12] - 読んだ人
僧侶は女王のもとにいて、センチネルの王には敗北を告げた盲目の相談役の前例がある[10:2,5] - 勝利の中身
署名の国の勝利は条約で守られていて、サルモールはその条約を狙っている[18:6] - 消えた未来
聖蚕の僧侶は、読んだ未来が変わり、消えるのを何度も見てきた[13:3]
つまり、巻物から消えかけているのは、ハンマーフェルが第四紀 180 年の勝利を守り抜く未来です。ヤザールはそれを女王に告げている、と考えると、句のつながりに無理がありません。
この解釈は、完全解説の「散った星霜の書を追う物語」とも食い違いません。ヤザールが読んだ巻物も、第四紀 175 年に散った巻物の 1本と考えられるからです。[3:8]主人公は、散った巻物を追いながら、女王の国の未来に関わることになるのかもしれません。
オラクルの警告は、王に退けられました。女王がヤザールの言葉を聞くかは分かりません。それでも、星霜の書の未来は、起きるまでは定まりません。
シリーズ 4 作目 Oblivion の結末で、皇帝の血を引くマーティン・セプティムは、主人公に次の言葉を残しています。[32:28]
“次の星霜の書が書かれるとき、その書き手はあなただ。未来の形も、帝国の運命も、今はあなたの物だ”
マーティン・セプティムの台詞より(Oblivion の結末)。訳は当サイトによる物です
(When the next Elder Scroll is written, you shall be its scribe. The shape of the future, the fate of the Empire. These things, now, belong to you.)
シリーズの物語は、1 作目の Arena の時から星霜の書の 1 章として語られてきました。[1:57]ヤザールの言葉が TES6 の最初の予言なら、主人公の役目は、失われた未来を次の巻物に書き直すことなのだと思います。
ヤザールが見た未来は、読まれた時点ではまだ定まっていません。砂の下から現れた巻物に、失われた未来の続きを書くのは、だれになるのでしょうか?
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よくある質問
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参考文献
記事で引いた公式の発表と原典は、次のとおりです。番号の後ろの「行」の数字は、引いた一文へのリンクです。
- UESP「Elder Scrolls」 行2,12,22,24,30,32,33,57,62
- 「The Elder Scrolls VI: Official Name Reveal」(Bethesda Softworks、YouTube、2026 年 11 月 3 日) 行3,6
- UESP「Cult of the Ancestor Moth」(聖蚕会) 行5,8
- 「The Elder Scrolls 6: Sentinel is finally made official」(PC Gamer、2026 年 11 月 3 日) 行35
- シスター・テラン・アルミナス『テランのメモ』(Terran’s Notes。ESO の本) 行4
- Skyrim(ドーンガード)のデキソン・エヴィカスの台詞(UESP「Dexion Evicus」) 行61,68
- 『星霜の書の占い』(Divining the Elder Scrolls。Oblivion の本) 行2
- ジャスティニアス・ポルウニウス『星霜の書の効果について』(Effects of the Elder Scrolls。Skyrim と ESO の本) 行10,12
- UESP「Fourth Era」 行45,46,50,63
- UESP「The Oracle」 行2,5
- UESP「Hammerfell」 行138,184
- 「Loremaster’s Archive – Elder Scrolls & Moth Priests」(ESO の公式サイトの問答。チャナ・ニリン修道女) 行52,61,79,80
- 「Moth Sister Terran Arminus Answers Your Questions」(ESO の公式サイトの問答) 行3,14
- ESO のチャナ・ニリン修道女の台詞(UESP「Sister Chana Nirine」) 行28
- UESP「Fate」 行12,18,27,36
- 『タムリエルの失われた歴史』(Lost Histories of Tamriel。Oblivion の本) 行3
- UESP「Great War」 行12,15,16
- フィジェの指示書(Skyrim の Creation『Redguard Elite Armaments』) 行6
- Skyrim のパーサーナックスの台詞(UESP「Paarthurnax (dragon)」) 行115,121,211
- UESP「Dragon Break」 行11,19,21,32
- UESP「Redguard Elite Armaments」(Skyrim の Creation) 行13
- フィジェの手紙(Skyrim の Creation『Redguard Elite Armaments』) 行9~11
- Skyrim のケマツの台詞(UESP「Kematu」) 行16
- UESP「Thalmor」 行21
- 「Elder Scrollsシリーズの第6作の名は噂どおり「The Elder Scrolls VI: Sentinel」!」(4Gamer.net、2026 年 11 月 4 日) 行17
- 「The Elder Scrolls VI: Sentinel Trailer Breakdown」(Church of Nerds、2026 年 11 月 3 日) 行17
- UESP「Time Wound」 行2,8
- 『ドラゴンが壊れたとき、どこにいたか』(Where Were You … Dragon Broke。Morrowind ほかの本) 行2
- 「アルコシュの勇者の歌」(Song of Alkosh’s Champion。ESO の本) 行15
- 導師トドワフィア『レップ・セクルーサの歴史』(History of Lep Seclusa。ESO の本) 行9
- UESP「Satakal」 行22
- Oblivion の結末のマーティン・セプティムの台詞(UESP「Light the Dragonfires」) 行28
- UESP「Ithelia」 行35























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