ガウスカートリッジを使うスナイパーライフル。
ガウスガン
ガウスガンの詳しい説明
ゾーン内で開発され、電磁弾丸加速システムを搭載したこのスナイパーライフルは、ゾーン内部でのみ運用されている。

ガウスガン(Gauss Gun)は、電磁力で弾体を加速するライフルです。銃身の周囲に並んだ加速コイルと大型の光学照準器が特徴で、10発の専用弾を1発ずつ撃ちます。重装甲の人間やミュータントも一撃で吹き飛ばせる、ゲーム最終盤クラスの超兵器です。
ユニーク版にEM-1がありますが、こちらはスカー専用でスコープなし・99発という異質な仕様です。基本の型式として押さえておきたいのは、まずこの通常版ガウスガンです。
本物のガウスガンはあるのか
あります。ただし『S.T.A.L.K.E.R.』みたいな威力ではありません。この手の武器は一般にコイルガンと呼ばれます。銃身に沿って複数の電磁コイルを並べ、順番に磁場を発生させて金属の弾体を引っ張りながら加速します。
レールガンとは仕組みが違います。レールガンは2本の導電レールへ大電流を流し、弾体やアーマチュアをレールに沿って押し出します。コイルガンでは弾体の周囲に並べたコイルを順番にON/OFFします。両者は別方式の電磁ランチャーとして分けられています。『S.T.A.L.K.E.R.』のガウスガンは銃身の周囲に加速コイルがずらっと並んでいるので、見た目も説明もレールガンよりコイルガン系に近いです。ゲーム内でも『Call of Pripyat』のカルダンがItem 62について「電磁場による弾体加速」を使った兵器だったと説明しています。
実在するハンドヘルド・コイルガン
そして、肩に構えて撃てる電磁銃も実際に作られています。有名なのがArcflash LabsのGR-1 ANVILです。GR-1は8段式の半自動コイルガンで、強磁性体の弾体を複数のコイルで順番に加速します。メーカーの取扱説明書によると、25.2VのLiPoバッテリーと8個の高電圧コンデンサーを使い、最大約75m/s、最大約100J。標準マガジンは10発で、無電池時でも約15ポンド、約6.8kgあります。

つまり、電池で充電→コンデンサーへ蓄電→コイルへ放電→弾体を加速、という基本部分は、STALKERのガウスガンとよく似ています。でも性能差はすごいです。実在するGR-1は100J級。ゲームのガウスガンは重装甲の人間やミュータントまで一撃で吹き飛ばす超兵器です。今の電池やコンデンサーで、ゲームのような威力を出しながら小銃サイズに収めるのは難しいです。
電磁銃の難しいところ
コイルを増やせば簡単に強くなる、というわけでもありません。弾体がコイルの中心を通り過ぎても電流を流し続けると、今度は磁力に後ろへ引っ張られて減速してしまいます。なので各コイルを正確なタイミングで切らなければいけません。さらに電力、コンデンサーの大きさ、発熱、スイッチング、高電流に耐える回路も必要です。近年のコイルガン研究レビューでも、エネルギー変換効率、スイッチング損失、磁気飽和、発熱や制御がまだ課題として挙げられています。だから『S.T.A.L.K.E.R.』で一番SFなのは、コイルそのものより電源かもしれません。
アーティファクトを使った電源
ここがSTALKERらしいところです。『Call of Pripyat』のGauss Rifle説明では、バッテリー内部にカプセル化したアーティファクトの破片を使っています。しかも、もともとのItem 62計画は2004年に一度中止されています。カルダンによると、原因は「十分に小さい電源を作れなかった」こと。電磁加速そのものは考えられていたのに、持ち歩けるだけの電源がなかったわけです。これは、現実のコイルガンにも共通する制約です。現実でも電磁加速自体はできます。ただ、高速の弾体へ十分なエネルギーを渡すには大きな電源と蓄電装置が必要になります。STALKERでは、その穴をゾーンのアーティファクトで埋めた。SF設定としてよくできています。
Item 62からのつながり
シリーズのガウス兵器の系譜は複雑です。もともとはItem 62と呼ばれる秘密の電磁兵器計画がありました。『Call of Pripyat』では、ジュピター工場で武器設計に関わっていたカルダンが、Item 62の開発に参加していたことを話します。試験施設には大型の試作装置も残されており、関連文書はX8研究所につながっています。その試作兵器から『Clear Sky』のEM1が生まれ、のちにモノリス側のGauss Rifleへ発展した、という流れで整理できます。ゲーム内で一枚の年表として全部説明されているわけではありませんが、Item 62系の試作電磁兵器→EM1→後のGauss Rifle、という流れで読めます。
旧三部作でのGauss Rifle
Gauss Rifleそのものは初代『Shadow of Chernobyl』から登場しており、『Call of Pripyat』にも続投しています。モノリス系の兵士が使う最終盤の強力な武器として扱われ、アーティファクト入りのバッテリーを使う特殊な弾薬体系もすでにありました。『S.T.A.L.K.E.R. 2』のガウスガンは、その系譜をそのまま受け継いだ武器です。
ゲームモデルの変化
昔のGauss Rifleは、無骨でした。銃身の周囲に大きなコイルが並び、普通のライフルへ実験装置を無理やりくっつけたような姿です。『S.T.A.L.K.E.R. 2』では大きく作り直されました。コイル部分は薄くなり、射撃後には機構がガシャガシャと動いて次弾を準備します。デジタル弾数表示も追加されています。旧作より完成度の高い製品風の外観になっています。
この見た目については評価が結構割れています。「未来兵器らしくて格好いい」という人もいれば、「旧作の実験兵器っぽい見た目のほうが良かった」という人もいます。動く加速機構を評価する声と、泥の中では使えなさそうというツッコミが並んでいます。まあ、確かに今作のやつはメカメカしすぎる。でも撃ったあとの機構が戻っていくところは見ていて楽しいです。
使ってみた感想
ガウスガンについては、発売直後は威力が妙に低く感じるという声がありました。ただ、これはパッチ1.1より前の話で、GSCがパッチ1.1でGauss Rifleのダメージを引き上げてからは一撃で倒せるようになっています。発売直後の評価を、そのまま今の性能評価には使えません。
終盤の超火力として、装甲の厚い敵やミュータント相手に頼りになる一挺です。ユニーク版のEM-1はスコープなし・99発という変わり種なので、狙撃寄りに使いたいなら通常版のガウスガンのほうが素直に扱いやすいです。









