「ガウスガン」の固有版のスナイパーライフルです。
EM-1
EM-1の詳しい説明
ガウスキャノンの独自改造型。電気器具を限定的に無力化するように設計されているが、標的の神経系に影響を与えることで生体に危害を加えることもできる。

EM-1は、電磁力で弾体を加速するガウスライフルです。見た目は通常のガウスガンによく似ていますが、こちらはスカー専用のユニーク武器。スコープを外したアイアンサイト仕様で、何より目立つのが99発というやたら大きな装弾数です。
ゲーム内説明では、もともと電子機器を無力化するために作られた特殊なガウス兵器で、生き物にも神経に働きかけてダメージを与えられる、という銃です。普通のガウスガンより「EMPのような兵器」という設定が強い銃です。
| 項目 | EM-1 |
|---|---|
| 使用弾薬 | Batteries/ガウスカートリッジ |
| ダメージ | HUD表示5 |
| 貫通 | 4 |
| 射程 | HUD表示5 |
| 精度 | HUD表示5 |
| 装弾数 | 99発 |
| 射撃モード | 単発 |
| 重量 | 7.9kg前後 |
| 改造 | 不可 |
| 通常アタッチメント | 基本的になし |
性能は情報によって数字の出し方が大きく違います。現行のデータでは7.9kg、99発となっています。一方、別の情報では重量7.0kg、価格125,000、ダメージ180という別の内部値が掲載されています。別の情報では価格144,000クーポンです。HUD用の数値と内部パラメータ、さらに更新時期の違いが混ざっているので、ダメージ180とHUDの5をそのまま比較することはできません。価格も情報間で一致していません。古い情報には9.88kg、165,000クーポンという値まで残っています。数字はアップデートで変わっており、今は7.9kg、99発です。
ガウスライフルとの違い
通常のガウスガンは10発。EM-1は99発。まずここがものすごく違います。ただし、99発を連射できるわけではありません。EM-1も一発ずつ電磁加速して撃つ単発武器で、射撃間隔そのものは長めです。装弾数は99発ですが、連射速度は上がっていません。
スコープもありません。通常のガウスガンは大型の光学照準器を載せていますが、EM-1は簡素なアイアンサイト仕様です。99発あるのに長距離狙撃がやりにくい。このアンバランスさが、この銃の持ち味です。通常ガウスガンとEM-1は基本構造がよく似ていて、どちらもBatteriesを使います。EM-1は、ガウスガンのユニーク改造型として紹介されることもあります。
本物のガウスガンはあるのか
あります。ただし『S.T.A.L.K.E.R.』みたいな威力ではありません。この手の武器は一般にコイルガンと呼ばれます。銃身に沿って複数の電磁コイルを並べ、順番に磁場を発生させて金属の弾体を引っ張りながら加速します。
レールガンとは仕組みが違います。レールガンは2本の導電レールへ大電流を流し、弾体やアーマチュアをレールに沿って押し出します。コイルガンでは弾体の周囲に並べたコイルを順番にON/OFFします。両者は別方式の電磁ランチャーとして分けられています。『S.T.A.L.K.E.R.』のガウスガンは銃身の周囲に加速コイルがずらっと並んでいるので、見た目も説明もレールガンよりコイルガン系に近いです。ゲーム内でも『Call of Pripyat』のカルダンがItem 62について「電磁場による弾体加速」を使った兵器だったと説明しています。
実在するハンドヘルド・コイルガン
そして、肩に構えて撃てる電磁銃も実際に作られています。有名なのがArcflash LabsのGR-1 ANVILです。GR-1は8段式の半自動コイルガンで、強磁性体の弾体を複数のコイルで順番に加速します。メーカーの取扱説明書によると、25.2VのLiPoバッテリーと8個の高電圧コンデンサーを使い、最大約75m/s、最大約100J。標準マガジンは10発で、無電池時でも約15ポンド、約6.8kgあります。
つまり、電池で充電→コンデンサーへ蓄電→コイルへまとめて流す→弾体を加速、という基本部分は、STALKERのガウスガンとよく似ています。でも性能差はすごいです。実在するGR-1は100J級。ゲームのガウスガンは重装甲の人間やミュータントまで一撃で吹き飛ばす超兵器です。今の電池やコンデンサーで、ゲームのような威力を出しながら小銃サイズに収めるのは難しいです。
電磁銃の難しいところ
コイルを増やせば簡単に強くなる、というわけでもありません。弾体がコイルの中心を通り過ぎても電流を流し続けると、今度は磁力に後ろへ引っ張られて減速してしまいます。なので各コイルを正確なタイミングで切らなければいけません。実際の研究でも、この逆向きの力を抑えるために、電流の波形やコンデンサーの容量を調整しています。さらに電力、コンデンサーの大きさ、発熱、スイッチング、高電流に耐える回路も必要です。近年のコイルガン研究レビューでも、エネルギー変換効率、スイッチング損失、磁気飽和、発熱や制御がまだ課題として挙げられています。だから『S.T.A.L.K.E.R.』で一番SFなのは、コイルそのものより電源かもしれません。
アーティファクトを使った電源
ここがSTALKERらしいところです。『Call of Pripyat』のガウスライフルは、バッテリーの中にカプセルに入れたアーティファクトのかけらを使う銃でした。しかも、もともとのItem 62計画は2004年に一度中止されています。カルダンによると、原因は「十分に小さい電源を作れなかった」こと。電磁加速そのものは考えられていたのに、持ち歩けるだけの電源がなかったわけです。これ、現実のコイルガンと同じところで困っています。現実でも電磁加速自体はできます。ただ、高速の弾体へ十分なエネルギーを渡すには大きな電源と蓄電装置が必要になります。STALKERでは、その穴をゾーンのアーティファクトで埋めた。SF設定としてよくできています。
Item 62とEM-1
シリーズのガウス兵器の流れは、少し入り組んでいます。もともとはItem 62と呼ばれる秘密の電磁兵器計画がありました。『Call of Pripyat』では、ジュピター工場で武器設計に関わっていたカルダンが、Item 62の開発に参加していたことを話します。試験施設には大型の試作装置も残されており、関連文書はX8研究所につながっています。その試作兵器からクリアスカイがEM1を作り、のちにモノリス側のGauss Rifleへ発展した、という流れで整理できます。ただし、このあたりはゲーム内で一枚の年表として全部説明されているわけではありません。流れとしては、Item 62系の試作電磁兵器→EM1→のちのガウスライフル、です。
『Clear Sky』のEM1 Rifle
EM-1には、旧作からの流れがあります。初登場は『S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky』です。終盤、Chernobyl NPPへ向かったストレロクを止めるため、LebedevがスカーへEM1 Rifleを渡します。目的はストレロク本人を撃ち殺すことではありません。ストレロクが装備しているpsi-protectionを無力化することです。旧作のゲーム内説明でも、EM1は遠距離から電子機器を無力化するための実験的な電磁ライフルで、生物相手には有効ではないとされていました。装弾数は100発です。ただ、ゲーム上は頭を撃てば敵を倒せることもあり、設定上の非殺傷と実際のダメージ処理は完全には一致していません。ここは昔から少し変わっています。
『S.T.A.L.K.E.R. 2』での復活
そして十数年後。スカーがまたEM-1を持っています。分かりやすい『Clear Sky』ネタです。今作のEM-1も電子機器を無力化するための武器という説明を残していますが、生物には神経系へ作用してダメージを与えられる、と説明が少し変わりました。
ただし、『Clear Sky』でスカーが使ったEM1そのものを持ち続けていたのかは、ゲームの中では語られていません。旧作のEM1と今作のEM-1が同じ個体かどうかは、今作の武器説明には書かれていません。ただ、スカーにEM-1を持たせたのは、どう考えても偶然ではないでしょう。旧作を知っていると嬉しいやつです。
ゲームモデルの変化
昔のGauss Rifleは、無骨でした。銃身の周囲に大きなコイルが並び、普通のライフルへ実験装置を無理やりくっつけたような姿です。『S.T.A.L.K.E.R. 2』では大きく作り直されました。コイル部分は薄くなり、射撃後には機構がガシャガシャと動いて次弾を準備します。通常ガウスガンにはデジタル弾数表示も追加されています。旧作より完成度の高い製品風の外観になっています。
この見た目については評価が結構割れています。「未来兵器らしくて格好いい」という人もいれば、「旧作の実験兵器っぽい見た目のほうが良かった」という人もいます。動く加速機構を評価する声と、泥の中では使えなさそうというツッコミが並んでいます。まあ、確かに今作のやつはメカメカしすぎる。でも撃ったあとの機構が戻っていくところは見ていて楽しいです。
アタッチメントと改造
EM-1は技術者による改造ができません。今も改造はできず、付けられるアタッチメントもありません。この点は、情報が食い違っています。別の情報では対応アタッチメントとして大容量ガウスマガジンが記載されています。ところがEM-1自体が最初から99発マガジンを持っていて、現在の情報では外付けアタッチメントなし。抽出データにもEM-1専用の巨大マガジンが組み込まれた状態で登録されています。普通の銃のように、拾った大容量マガジンをあとから付けることはできません。99発仕様がEM-1固有の構成と考えるのが自然です。そしてスコープも付けられません。8倍スコープを付けられないかという質問に、通常プレイでは無理だったという回答が付いています。99発の超兵器なのにアイアンサイト。何ともスカーらしいです。
入手方法
ここからは終盤のネタバレです。EM-1はスカーを倒したあと、その死体から回収します。ウォードルートではメインクエスト「最終段階」、ストレロク/カイマノフ系では「不満は残すな」でスカーとの戦闘があり、倒したあとにEM-1を拾えます。スパーク側の進行ではこの戦闘自体が発生しないため、通常の進め方では入手できません。
問題は取れる時期。ものすごく遅いです。すでに「下降」以降の引き返せない終盤へ入っているので、普通のオープンワールド探索へ持ち帰って「さあEM-1でゾーンを回ろう」という使い方は基本的にできません。残された実戦らしい実戦はGranite Squad戦くらいという説明もあります。せっかく99発あるのに。もったいないです。
ユニーク版
少し言い方が逆になります。EM-1そのものがガウスガンのユニーク版です。通常武器としてガウスガンがあり、その特殊型がEM-1。現時点で、さらにそのEM-1から派生した別のユニーク武器は確認できませんでした。ゲームデータ上でも通常ガウスガンとEM-1は別に登録されています。なのでガウス系は大きく、通常ガウスガンとスカーのEM-1の2本を押さえておけば大丈夫です。
使ってみた感想
EM-1の評価で一番多いのは、強い弱い以前に、手に入るのが遅すぎるです。発売直後は、通常ガウスガンと比べてEM-1の威力が妙に低く感じるという声がありました。ただ、これはパッチ1.1より前の話で、パッチ1.1でガウスライフルのダメージが上がってからは一撃で倒せます。発売直後の「EM-1は弱い」という評価は、今の性能には当てはまりません。
一方で、今でも変わらない弱点があります。スコープがない。射撃間隔が長い。99発も使い切る場面がほとんどない。そしてゲームがほぼ終わっている。99発マガジンを持て余すという話や、スコープが付けば究極の狙撃銃なのに、という声が出ています。ただ、終盤のGranite Squad戦ではEM-1を使って切り抜けたというプレイヤーもいます。
この銃は実用品として考えると変です。99発も入るのに連射できない。狙撃銃並みに正確なのにスコープがない。手に入ったころにはゲームが終わりかけ。それでも、そこがこの銃の魅力です。『Clear Sky』の最後にスカーが持っていたEM1を、『S.T.A.L.K.E.R. 2』の最後でもスカーが持っている。普通に攻略していたら活躍時間は短いですが、シリーズを追ってきた人には刺さる武器です。そして実在のコイルガンまで調べてみると、電磁加速そのものより「こんな威力を出せる小型電源をどう作ったんだ」という話になってくる。そこでアーティファクトを持ち出す。このあたりは、STALKERらしいSFの設定です。
