リッチになろうと洞窟にこもった死霊術師の日記。Oblivion の本。
『超越への道』
The Path of Transcendence
『超越への道』の詳しい説明
書き手は、マニマルコに仕える不死の信徒「虫の隠者」に加わることを目指した。何か月も死霊術の本を読みあさっても秘密は得られず、瞑想のさなかに現れた主マニマルコから直に授かった。そのあと多くの生贄と一週間近い儀式で、魂を移す器の砂時計「決意の砂」を作る。
器の言い伝え
器を壊せばリッチも死ぬという民話を愚か者の言い伝えと笑い、移し終えれば器は意味を失うと言い切る。その一方で、移りきるまでは砂時計を決して手放せず、日ごとに強くなるのに今ほど弱いときはないとも書く。
ゲームでは
Oblivion の闇の一党の契約で、標的の死霊術師が住むリーフロット洞穴の机に置かれている。読んだプレイヤーは、砂時計を盗んで戦わずに倒せることを知る。
『超越への道』の全訳
記録 1
最初の発見ははっきりしない物だったかもしれないが、それが私をこの道に立たせた。目指す物を手に入れるか、この洞窟で朽ち果てるまで、私はこの道を進む。どちらに終わっても、食べ物も水も、どんな仲間も無いまま骨身を削ってきた昼と夜からの、ありがたい休みになるだろう。劣った魔術師なら、とうに狂気の餌食になっていたはずだ。間違いない。だが私は劣った魔術師ではない! 同胞の死霊術師たちは熱心に励み、心も頭も我らが偉大なる主の教えに忠実だが、究極の目標――リッチの境地――に届くのに要る、すべてを捧げる覚悟に欠けている。ファルカーその人でさえ、私のこの粘り強さ、どんな失敗も受け入れぬ執念には及ばない。だからこそ私、セレデインは、まもなく虫の隠者の列に加わるのだ。主がほかのだれよりも目をかける僕たちの列に。私は誉れと従順をもって主の右に座し、そのあいだ魔術師ギルドの愚か者どもは、蛆のわいた私の足もとにひれ伏すのだ!
記録 2
どれほどありふれた百姓の昔話でも、リッチは何らかの形で自分の魂につながれていなければならないと、昔から語られてきた。そのつながりは、たいてい、霊を本物の物へ移すという形で現れる。壺、石棺、水晶の小瓶……。カジートの昔話には、ウッドエルフの赤子の切り落とした首に霊をしまったリッチの話さえある! そして同じ百姓たちは、もし不運にもリッチと向き合うことがあっても、霊の宿る器を見つけて壊しさえすれば、リッチそのものを滅ぼせると信じて、長く自分たちを慰めてきた。愚か者と、その言い伝えめ! 本物のリッチに、そんな弱みは無い! 主の虫の隠者が、ガラスの花瓶を割られたくらいで負けるものか。考えるだけでばかばかしく、笑い話にもならない。たしかに死霊術師は、魂を形のある器へ移さなければならない。だが、移し終えれば、死霊術師がすっかりリッチの姿へ変わりきれば、器などどうでもよくなる。だが、長く私の手をすり抜けてきたのは、この移すことそのものなのだ。私の魂はまだこの世の体に縛られたままで、何を試しても、この死すべき身から抜け出して、私が焦がれるリッチの境地へ昇ることはできなかった。
記録 3
手に入れた本はどれも、山のような死霊術の論説も、みな役に立たない! いわゆる「欠かせない」書き物に注ぎこまれた、無駄な年月にはうんざりした。正気の者のだれが、死んで一月たったシロディールの蝶を動かしたがったり、珍しい白いマッドクラブの腐った抜け殻に命を与えたがったりするというのか。この洞窟で何か月を無駄にしたことか。それも何のために? そうだ、分かったぞ! ゆがんだゴブリンの子どもの軍勢をよみがえらせて、白金の塔そのものへ攻め上ろう! それくらいなら私にもできる! 私の頭は死霊術のごみためになり、出来損ないの呪文と儀式が、私をついにすっかり狂わせる誉れを競い合っている。それでもなお、この試みを始めたときより、目指す物に少しも近づいていない。私は自分を、自分の修練を信じられなくなっているのか? 根を詰めて学びすぎたのかもしれない。もう一つの実験、もう一つの呪文のために、主への祈りを捨てた夜がいくつもあった。今の私に要るのは休みだ。休みと、静かな心だ。そうすれば主と心を通わせ、忠誠と献身を誓い直せる。偉大なる主ご自身が授けられない答えを、崩れかけた古い写本に見つけられるはずがあろうか。
記録 4
秘密は私の物だ! あれほど長く探し、あれほど骨身を削ったのに、私は愚かだった! 学びを捨てて、もっと熱心に祈りを捧げたのは正しかった。昨夜、瞑想の深みにいた私のもとに、偉大なる主がおいでになったのだ! 主は、私が長く求めてきた知恵を授けてくださった! 超越の秘密は、私が思い描いていたよりさらに込み入っていて奥深かった。私はそれを決して書き物に写すまい。実のところ、それが記されたことは一度も無いのだ! 孤独に耐えた何か月もの日々は無駄だった。私が必死に求めた秘密は、偉大なる主ご自身と直に交わることでしか得られなかったのだから。まもなく私は虫の隠者として地を歩き、果てしない不死のうちに主に仕えるのだ!
記録 5
多くの罪なき者を生贄にし、仕事を手伝わせるために多くの僕をよみがえらせ、一週間近い儀式を休まずやり通して、私は決意の砂を作り上げた。だが、完全なリッチへの超越はすぐには起こらない。器はできたが、私の力、私の魂は、すっかりその中へ移らなければならない。それにどれほどかかるかは、主でさえはっきりとはご存じなかった。体と魂の多くのことによって、死霊術師ごとに違うからだ。ただ一つ、確かなことがある。移しきるまで、この砂時計を決して手放してはならない! 私は日ごとに強くなっているが、本当のところ、今ほど弱いときは無い。もし決意の砂に何かあれば、もし砂時計が何かの拍子に私の身から離れれば、魂と器のつながりは断ち切られる。成功のすぐそこまで来たのに、私の仕事が、私の命が、そんなにたやすく消し去られるかもしれないと思うと、ほとんど耐えられない。










