「APSB」の固有版のハンドガンです。
エンカレッジ
エンカレッジの詳しい説明
アレクサンダー・コルシュノフが中尉だった頃に授与されたこのピストルは、精密な職人技を誇っている。ボルトには、「栄光、奉仕、名誉」という碑文が刻まれている。

エンカレッジ(Encourage)は、9×18mm弾を使うAPSBのユニーク版です。持ち主はウォードを率いるアレクサンダー・コルシュノフ大佐。ゲーム内の説明では、まだ中尉だったころに授与された拳銃だと紹介され、スライドには英語で「Glory. Service. Honor.(栄光、奉仕、名誉)」と刻まれています。ゲームモデルにはウクライナの国章も刻まれており、普通のAPSBよりだいぶ特別扱いされています。
そして見た目だけの記念品ではありません。通常のAPSBでも貫通3と強いのに、エンカレッジはダメージまで上がっています。ただし手に入るのはストーリー最終盤。強いんだけど、使える時間がものすごく短いです。
| 項目 | エンカレッジ | 通常APSB |
|---|---|---|
| 使用弾薬 | 9×18mm | 9×18mm |
| ダメージ | 28 | 20 |
| 貫通 | 3 | 3 |
| 連射速度 | 706rpm | 706rpm |
| 最適射程 | 8m | 8m |
| 最低威力保持 | 35% | 35% |
| 装弾数 | 18発 | 18発 |
| 射撃モード | 3点バースト | 3点バースト |
| 重量 | 1.1kg | 1.1kg |
| 耐久指数 | 693 | 630 |
| 基準価格 | 8,200クーポン | 資料差あり |
通常版から一番大きく変わるのはダメージで、20から28へ上昇しています。耐久性も少し上です。貫通3、射程、連射速度などは通常APSBと変わりません。ダメージの表記には食い違いがあり、一部の情報は現在もエンカレッジのダメージを20と掲載していますが、現在更新されている情報では28です。古い情報が通常APSBの基礎値を拾っている可能性があります。ゲーム内HUDでも別の尺度が使われるため、以下では28を基準にします。
元ネタのStechkin APB
エンカレッジの元ネタは、ソ連のStechkin APBです。ゲームではAPSBという名前が付いています。9×18mmマカロフ弾を使う自動拳銃で、もともとのAPSを特殊部隊向けの消音仕様へ作り直した銃です。

APSからAPBへ
元になったStechkin APSは、イーゴリ・ステチキンが開発したソ連の自動拳銃です。1951年にソ連軍へ採用され、9×18mmマカロフ弾を20発装填。普通のセミオートだけでなくフルオート射撃までできます。戦車や装甲車の乗員、砲兵など、普通の拳銃より火力が欲しいけれど大きな銃は邪魔、という人向けでした。
目を引くのがストックです。APSには大きなホルスター兼用ストックがあり、銃のお尻へ取り付けると小さなカービンのように撃てます。ただ、これが結構でかい。拳銃として持つには重く、短機関銃と比べると火力が足りない。APSは拳銃としては大きすぎて、カービンやSMGの代わりとしては力不足だったという評価も残っています。
そこで1970年代初頭に作られたのがAPBです。A.S.ネウゴドフがAPSをベースに改修し、1972年にAPB、GRAU番号6P13として採用されました。1972〜73年には約2,000丁のAPSがAPBへ改造されています。APBでは銃身を延長してサプレッサーを装着。APSの大きなホルスターストックもやめて、細い金属製のワイヤーストックへ変わりました。サプレッサーを使わないときは、そのワイヤーストックへ固定して運べます。変わった見た目ですが、理由があります。
ゲームのAPSBと実銃APB
見た目はAPBによく似ています。延長された銃身や細長い本体、グリップ周りなど、元ネタはまず間違いありません。ただし、撃ってみると変です。実銃APBに3点バースト機構はありません。実物はセミオートとフルオートの切り替え式です。ところが『S.T.A.L.K.E.R. 2』のAPSBとエンカレッジは3点バースト固定です。実銃の仕様とは異なる、ゲーム独自の再現といえます。射撃ボタンをすぐ離せば途中で止められるので、1発や2発だけ撃つことはできますが、正式な単発モードではありません。
もう一つ違うのがストック。実銃APBには着脱式のワイヤーストックがありますが、ゲームでは使用できません。GSCが制作したAPBの武器モデルにはストック付きのレンダーも存在するものの、現在のゲームでは装備できません。さらにゲーム内説明ではAPSBを消音拳銃として紹介していますが、拾った状態ではサプレッサーが付いていません。これも謎です。実銃APBの一番分かりやすい特徴なのに、自分でサプレッサーを付ける必要があります。
エンカレッジの刻印
通常APSBとの見た目の違いは、スライドの刻印です。ゲーム内説明によれば、この銃はコルシュノフが中尉だったころに授与された品です。さらに、エンカレッジのスライドにはウクライナの国章トルィーズブも入っています。つまり、どこかで拾ったAPSBを大佐が愛用しているのではなく、中尉だった時代から持っている、いわば褒賞用の拳銃です。コルシュノフ本人は無骨なのに、持っている拳銃はきっちり記念品なのがいいところです。
旧三部作とのつながり
完成版の旧三部作にはStechkin APS/APBは登場しません。『Shadow of Chernobyl』『Clear Sky』『Call of Pripyat』のバニラ武器としては使えません。現在のシリーズ武器一覧でも、APSBは『Heart of Chornobyl』からの登場です。ただし、まったく無関係だったわけではなく、旧『S.T.A.L.K.E.R.』の没武器一覧にはStechkin Automatic Pistolの名前が残っています。古い武器インベントリ画像に存在したもので、最終版ではカットされました。
なので、昔から出す案はあった→旧三部作では没→『S.T.A.L.K.E.R. 2』でAPB仕様のAPSBとしてようやく正式登場、という流れです。現在のAPSBが昔の没Stechkinを直接復活させたとGSCが明言した資料はありません。古い没案と今作の採用銃は、同じStechkin系というところまでが確かです。AnomalyやGAMMAではStechkin系を見たことがある人もいると思いますが、あちらはMODで、旧三部作の公式装備とは別物です。
アタッチメントと改造
エンカレッジは基本的に通常APSBと同じ改造を使えます。対応する主な外付け装備はコリメーターサイト、ピストルサプレッサー、大容量APSBマガジンです。大容量マガジンでは18発から30発になります。個人的には30発マガジンが大事です。3点バースト固定なので、標準18発だと6回撃っただけで空になります。30発なら10バースト。数字だけだと12発増えただけですが、この銃では結構違います。
改造では反動軽減、拡散軽減、ダメージ減衰の軽減、軽量化などを選べます。マズルブレーキとサプレッサーは競合するので、消音運用ならマズル側の改造には注意。スコープマウントを入れればコリメーターサイトも使えます。一部の改造には設計図が必要で、通常APSBと共通です。
入手方法
ここからは終盤のネタバレです。エンカレッジはプリピャチ以降のメインクエスト「下降」でコルシュノフを倒し、その死体から回収します。ビーストも同時に持っています。
ただし、取れないルートもあります。ウォード側へ進んだ場合、「下降」ではコルシュノフと戦いません。代わりにリヒターたちと戦うため、当然エンカレッジも手に入りません。スパークルートではコルシュノフと直接戦います。ストレロク側へ進んだ場合もコルシュノフ戦があり、その後にカイマノフ博士側へ分岐できるため、最終的にカイマノフエンディングへ進むプレイでもエンカレッジを回収できます。そのため、スパークとストレロク限定と説明される場合と、ストレロク、カイマノフ、スパークの3つと説明される場合がありますが、これはカイマノフ分岐が「下降」より後にあるためです。
なので簡単に言うと、「下降」でコルシュノフと敵対するルートなら取れる。ウォード側では取れない。これで覚えるのが一番楽です。そして最大の問題があります。入手時点ですでにポイント・オブ・ノーリターンを越えています。「下降」へ入ると通常のゾーン探索へ戻れなくなり、エンカレッジを取ったあとに好きな場所を歩き回って使う、という遊び方ができません。残っている終盤戦で使うための武器です。強いのに遅すぎる。惜しいです。
通常APSBとの違い
普通のAPSBも強いです。通常版はダメージ20、貫通3、706rpm。エンカレッジはそこからダメージ28まで上がるので、単純計算なら1発あたり40%増しです。しかも3点バースト。全部当たれば基礎ダメージの合計は通常版60に対してエンカレッジ84になります。もちろん実戦では距離減衰、防具、命中部位などが入るため、84ダメージがそのまま入るとは限りません。ただ、通常APSBと撃ち比べたときの差が小さい銃ではないです。
貫通3もそのままなので、装甲を着た人間相手でも使いやすい。その代わり射程は短めです。最適射程8mを過ぎるとダメージが落ち始め、最終的には35%まで下がります。中距離から無理に撃つより、建物の中や接近戦で使ったほうが素直です。
使ってみた感想
エンカレッジ単体の話題は、正直あまり多くありません。理由は簡単で、手に入るのが遅すぎるからです。一方、ベースになったAPSBそのものは評判がいいです。サプレッサー、コリメーター、レーザー、大容量マガジンを付けたAPSBを最終的に選んだという人もいます。APSBは高難度になるほどダメージ差を感じやすく、大容量マガジンと組み合わせれば終盤のエクソスケルトン兵にも使える、という評価が出ています。
実際、エンカレッジはそのAPSBからダメージをさらに上げた銃です。性能だけ見ると魅力があります。でも、終盤でコルシュノフを倒して初めて手に入り、そこから残っている戦闘でしか使えない。このせいで、強さよりもったいなさのほうが先に来ます。普通に探索中に拾えたら、人気が出そうなんですけどね。
エンカレッジは、ユニーク武器としては地味です。派手な専用サイトがあるわけでもないし、口径が変わるわけでもありません。でも設定を見ると面白い。中尉時代に授与され、栄光、奉仕、名誉の刻印がある拳銃を、コルシュノフは大佐になった今でも持っています。最後に本人を倒したとき、その銃をスキフが拾うことになる。武器そのものより、持ち主の話が残っているタイプのユニーク武器です。そして実用面では、通常APSBよりダメージが高い。使える時間が短いことだけが、本当にもったいない。せっかく取ったなら、残りの9×18mm AP弾を全部突っ込んで最後まで持っていきたくなる一丁です。
